ベルリンの桜
ベルリンに来てから、もう15年。
でもこの時期になると「ああ自分は日本人だなあ……」としみじみしてしまいます。
それは、桜を見ると、気持ちが高揚するから!自転車で走っていても、歩いていても。
あっ、桜!と思うとつい立ち止まってしまいます。
ベルリンの街には色々な種類の桜がたくさん見つかりますが、
街路樹が多いので木の下にピクニックシートを広げてお花見ができるスポットは限られています。
ミッテ地区のVolkspark am Weinbergは、日当りのいい公園の一角に良い枝振りの桜が咲いている個人的な、ベルリン・イチオシ・お花見スポットの1つ。
そして、ふらりと行けるお花見スポットといえば、Cafe Niesen。旧東と西ベルリンの国境沿いに植えられた桜並木を見ながら、ケーキが楽しめます。早咲きなので、4月頭〜にベルリンに行く方には強力におススメしたい、お花見スポット。
ピンクのテーブルにチーズ&サワーチェリーのケーキ、桜気分が盛り上がります。
このカフェのちょっと北側には、最初に開かれた東西の国境、ボーゼブリュッケという橋があり橋の下にはベルリンの壁の跡に続くように桜が植えられています。ピンク色の八重桜が細い道の両側にもりもり咲いて、桜の雲の中にいるみたい!
東西ベルリンの国境沿いには1990年からテレビ朝日の呼びかけにより集まった募金で、桜が9000本も!植樹されているんです。
東と西のスパイが交換される場所としても有名だったグリニッケ橋、Glienicker Brückeのたもとに、最初の1本が植えられました。この橋は、第二次世界大戦時に崩壊し、1949年に“統一の橋”として再開。しかし、壁の建設が始まった1961年、閉鎖され、国民の直接の往来は禁止。 連合軍と外交官だけが通行を許可されることになりました。当時は東側と西側半分半分で違う色が塗られていたそうですが、現在は渋い緑色一色。桜のピンク色に映えています。
毎年のようにお花見スポットを探しては、天気予報を分析してお花見の日程を熟考。引っ越してからは、家の中庭に桜があるので、そこでガーデンパーティならぬお花見を企画しています。
お花見をするたびに、ドイツ人の友人たちから聞かれるのが「なぜ、日本人にとって桜は大切な花なの?」ということ。
なかなか難しい質問です。
DNAに「桜」って書き込んであるのでは?と思うくらいに桜を見ると、おお〜〜!と興奮してしまうのにその理由は自分でもわかりません。たいていは「桜は、その儚さが美しい。ほんの短い時間しか楽しめないから、こぞって花見をするのです」と答えているのですが……どうなのでしょうか。ドイツ人のアスパラガスのように、「春の象徴」であるからかもしれません。
……私にとっては「花よりだんご」。今年は桜あんぱんを友人とともに作り、鼻と舌でも、桜を満喫。
この「花よりだんご」ということわざ、Lieber Knödel, als Blumen、ドイツ人にいたく好評でした(笑)
著者プロフィール
河内秀子(かわちひでこ)
東京都出身。2000年からベルリン在住。
ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』や『giorni』などでもベルリンやドイツの情報を発信しています。ガイドブック『ことりっぷフランクフルト・ベルリン』編など。
趣味は漫画とカフェ巡り、食べ歩き。蚤の市やオーガニックコスメも大好物。
Twitter(@berlinbau)で『一日一独』ドイツの風景を1日1枚、アップしています。