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ブラインドサッカーに出会って

ⒸGerman Embassy Tokyo

ブラインドサッカーに出会って

11月16日に開幕したIBSAブラインドサッカー世界選手権2014もついに最終日。
国立代々木競技場フットサルコートでドイツ代表の初戦を見たとたん、ブラインドサッカーというよりドイツ代表の虜にニャって結局アルゼンチン戦以外全部の試合の応援に行っちゃった♪

今年の3月の試合も素晴らしかったけど、各国代表との真剣勝負は見応え十分。
グループリーグ2戦目のスペイン戦は前半に鮮やかなシュートを決めるもPKですぐに追い付かれ初戦に続いて引き分け。

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実はブラインドサッカーはなかなか点数が入らないんだ。
それはゴールを健常者が守るということが理由じゃない。
5m×2mの限られたエリアから一歩たりとも出てはならず、その空間から手を伸ばしてボールに触れることすらできない。
だからゴールエリアのすぐ前に転がるボールを、その「至近距離」から容赦無い全力のシュートが蹴り込まれることもしばしば。
距離が短く速度が速いシュートにキーパーは如何に反応するか、もう一瞬の出来事。
それに試合中は選手に指示を出さなければならず仕事がいっぱい。キーパーは超多忙!
そして多くの得点源がPKなんだ。
チームファールが「4」に達するとダブルペナルティで相手にPKが与えられ、その成功が試合の鍵を握る。
そして決勝トーナメントになると引き分けが無くなり、同点の場合PK合戦に。
ますますキーパーは大変!


雨の中、アルゼンチン戦を0対0で引き分けて決勝トーナメント進出を決めたドイツ代表。
準々決勝の相手は優勝候補のブラジル代表。
試合前の練習を見て、その迫力にビックリ!

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シュート練習では全ての選手が鋭い打球を放ち、ボールはゴールの枠をしっかり捉えてる。
ちょっと別世界の雰囲気。
「何とかドイツ代表に幸運を!」と試合前から祈る気分・・・
そして試合では恐れていた様にブラジル代表の独壇場。
パスは繋がるし、見事なドリブルには「敵ながら天晴れ!」と思わず拍手してしまうほど。
ドイツ代表は守りをかわされ、あれよあれよと言う間に4点取られて前半終了。
力の差を痛感。
でも後半、気合いを入れ直したドイツ代表は捨て身の守りでブラジル代表を何とか0点に抑え込む。
負けはしたけど光明が差す思い。


続く5位決定トーナメントは日本代表と対戦。
さすが地元だけに応援がパネェ〜!

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大きな代表ユニフォームも登場するなどA代表と同じで、日本サポーターの意気込みが感じられます!
超アウェーの中、ドイツ応援団も「ドイチュランド!」コールで選手にエール♪
試合は前半に日本代表が先制。

ブラインドサッカーは練習で距離感やシュートの正確性を身体に覚え込ませているんだ。
だから、シュートの体勢に入れればほぼゴールが決まったも同然。
逆に言えば、如何にしてシュートの体勢にさせないかがポイント。

ドイツ代表は果敢に攻めるもあと一歩のところで日本代表に阻まれ、最後までシュート体勢にもっていけない・・・
結果、日本代表に1対0で敗戦。
試合後日本の大応援団から「ドイチュランド!」のエールを送られたドイツ代表は「ニッポン!」コールのお返し。
メインスタンドでは「アリガトウゴザイマシタ!」と日本語で応援してくれた全ての人にあいさつ♪
爽やかな印象で、「サッカーを楽しんでるんだなぁ〜」と実感。


最終日の今日は朝一でコロンビア代表と7位の座をかけ試合。
会場には素晴らしいドイツの横断幕も!


この試合、ドイツ代表は両サイドを有効に使ってコロンビアを崩しにかかるも、なかなか結果が出ない。
逆にコロンビア代表は鮮やかな個人技でドイツディフェンスを突破。
何度もヒヤヒヤさせられます。

ドイツ代表はそれぞれの持ち場が決まっていて、正確に壁までの距離、ゴールまでの距離を体で覚え、ボールに鈴が入っていることでボールの位置を察知、「Voy(ヴォイ)」のかけ声で敵味方の位置を把握、そしてキーパーやコーラー、そして監督(コーチ)の指示で試合を作るんだ。

試合中はそれぞれの指示の邪魔にならない様に、観客は静かに応援しなくちゃいけないんだ。
だから選手同士、そして壁への衝突音が生々しくピッチに響く・・・もう、格闘技みたい。



ドイツ代表のコーラーはゼーナーさん。
激しく叫び合う男性の声に混じって、澄んだ美しい声が選手の耳に届く。
声のトーンを使い分けてボールキープの情報を的確に選手に伝える。
コーラー歴8年のゼーナーさんの職業は中学の先生。
職場の同僚も応援してくれて今回、日本で大活躍♪

前半を終えて0対0。
後半に入りコロンビア代表が3つ目のチームファールをして、「あとひとつでダブルペナルティ!」と思った矢先にコロンビア代表に先制点。
焦るドイツ代表。
自然と当たりが激しくなる。
無常に時間だけが過ぎ、選手のプレーに観客はため息と感嘆の唸り声をあげる。
そして試合終了のブザー。


全力を出し切ってピッチに倒れ込むドイツ代表。
なかなか立ち上がることができない。
それは疲労からくるものだけでない、試合に負けたという敗北感から・・・
スタンド前に集合すると、応援してくれた観客に向かってあいさつし、スタンドからは惜しみない歓声。

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ただ、帰りのバスに乗り込む前、観客の前で気丈に振る舞っていたのとは打って変わってかなり落ち込んでた選手たち。

フスマン監督はこう振り返る:3月に来たとき日本代表に勝利し、おそらく日本代表は悔しい思いをしたことでしょう。そしてそれを乗り越え今回は私たちに勝利した。今度は私たちが今大会を糧として次に活かさなければなりません。そしてサッカーを楽しまなければなりません。

そしてフスマン監督は、この大会が運営もスタッフも、そしてボランティアのみなさんも観客も全て素晴らしかったと賞賛!

今大会のドイツ代表は3分け3敗で8位の成績で優勝はできなかったけど、その活躍はみんなに勇気と希望を与えてくれた!
ボクはドイツ代表のプレーや観客のみなさんとの交流にとっても感動♪
大会の雰囲気もとってもよかった〜!
ツイッターでもたくさんのフォロワーさんがドイツ代表を応援してくれて感激!
フォン・リムシャ公使はドイツ代表に「誇りに思う」とメッセージを直接伝えたんだ。

ぜひ、東京パラリンピックでもう一度東京に戻ってきてほしいニャ=^_^=

Blindenfussball-Online(ドイツ語) ⇒ http://blindenfussball.net

(24. November 2014)






2010年5月にはじめたこのブログ。2014年6月に新しいシステムに移行するまでの1247の記事は「ドイツ大使館ネコのきまぐれブログ・アーカイブ」でどうぞ♪=^_^=
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