自分の文房具の有用性を冷徹に分析する
自己紹介を書いた時に、自分が使っている文房具も紹介すると約束しましたが、写真を見れば一目瞭然の物について、いったい何を書くというのでしょう?定規は何に使うとか、なぜ鉛筆を持っているとか、誰だって知っていますよね?
そこで気になるのが、アップル社の製品哲学です。デザインとは、購買意欲を引き出すものだけでなく、製品の機能性を高めるものでもある、というものです。
これまで私は、物を買うときは自分の感覚的な好みに従い、物の有用性を冷徹に分析することは、ほとんどありませんでした。今回は、このテーマについて書いてみようと思います。
学校を卒業してからもう何年も経っていますが、学校で使う万年筆で指先がインクだらけになってしまったことは、今でも覚えています。だから、やっと自分で筆記具を選べるようになった時は、嬉しい気持ちでした。ところが最近Kaweco Sportの万年筆を見つけ、どうしても買わずにいられませんでした。Kaweco Sport社は、1889年にハイデルベルクで創業され、万年筆のデザインは1935年のものです。アールデコの影響が、はっきりとみられます。この製品は70年代に入るまで製造され、また数年前に復刻製造されるようになりました。全体の長さに比してキャップ部分がとても長く、この八角形のキャップのデザインが特徴です。キャップを軸にはめると、手で持ちやすい長さになりますが、使用後キャップをかぶせると、軸はほとんどキャップの中におさまってしまいます。宣伝コピー「ポケットでは小さく、使うときは大きく」は、このような構造の便利さを表しています。長いキャップには、美的な遊び以上の意味があるのは明らかです。
自宅以外で鉛筆を使うときは、KOH-I-NOOR 社の鉛筆芯ホルダーが好きです。特に気に入っているのは、1950年代に好まれたこの青色です。折れやすい鉛筆芯を金属製の芯ホルダーにおさめられるので、持ち歩くには理想的です。また他の追随を許さないアイデアとして、ホルダーの後ろにセットされた芯削りがあります。この芯削りのおかげで、長い間あれこれ考える時も、芯が丸くなって紙にかけないということはありません。言葉で言い表せないくらい、機能的なデザインです。
自宅用の鉛筆としては、黄色と黒の木製鉛筆を持っています。どんな特別の機能があるか、見てみましょう。まず鉛筆は六角形になっていて、直径は約6ミリです。六角形の鉛筆は、五角形、七角形、あるいは八角形の鉛筆よりも、持ちやすいことは十分想像がつきます。また、6ミリという直径も、標準的な鉛筆削りが使え、適切といえます。もっと幅広い筆記具、例えば幅が5センチもあるようなものは、きっと使いにくいですね。
この製品は特に、メイド・イン・ジャーマニーの、素晴らしい定番製品だと思います。
定規は2つもっていますが、普通に考えるとそのうち一つは役に立ちません。目盛りがついていないからです。でもこの木製定規は、エッジに金属が組み込まれているので、カッター用の定規としては理想的です。この定規は、ベルリンにある沢山の蚤の市のひとつで見つけました。50センチあるのにとても軽く、すばらしい手触りです。また、過ぎ去った時代を思い起こさせるこの定規は、インスピレーションの源にもなっています。もう一つの定規は飾り気のない金属製定規で、こちらは目盛りが入っています。これを使えば、正確に長さを図ることができます。
私の持っている文房具はすべて、それぞれの機能を満たすものです。でも時に、アイデアを考えたり問題の解決策を探すとき、ただ文房具をながめたり、手に取って手触りを楽しんだりします。そうすると気持がポジティブになって、求めていたアイデアが浮かんだり、解決策が見つかったりすることもあります。やはり、文房具の機能は、見た目の美しさにあるのでしょうか?
最後にもう一点、私のハサミを紹介しますが、写真を見れば、説明は必要ないですね。