ワールドカップブラジル大会決勝トーナメント１回戦を終えて、グループリーグ１位通過した全チームが準々決勝進出。
これはこのシステムになったフランス大会（１９９８年）以降初めてニャんだって♪
だけど、１回戦ではこれまで最多の延長戦（８試合中５試合）で、その数字が物語る通り実力伯仲の好ゲームの連続。「番狂わせ」が起きても少しも不思議では無かったニャ=^_^=

ドイツもアルジェリアとの激闘を制してベスト８入り。
ヨーロッパで残ったのがオランダ、ベルギー、フランスとみなさんお隣さん。
南米も大国ブラジルが開催国として体面を保ち、隣国アルゼンチンとコロンビアと共に見事ベスト８入り。
唯一どこの国とも接していないコスタリカもベスト８入りして、今大会台風の目になりそう・・・

ドイツが次の準々決勝で戦うのがフランス。
実は大使館もご近所さん同士♪
ドイツ人職員さんたちはドイツのベスト８入りを喜ぶも、次の試合のこととなるとなぜかコメントは控え目。
マズーンさんもヘルツベルク公使もブッシュ大佐も、
「モチロン、ドイツガカッテホシイデスケド・・・」と少々遠慮気味。

今大会のフランスチームは本当に強い。
大会前にエースで、バイエルンで大活躍のリベリー選手がケガで選出されなかった事がかえってフランス選手同士の結束を高めたのか、ベンゼマ選手、ジルー選手、マテュイディ選手、ヴァルブエナ選手、シソコ選手、ポグバ選手と６人がゴールを決め何処からでも攻めてくるその得点力は脅威。
ドイツにとって今まで以上に厳しい試合になるはず。
どちらに神様が微笑むかは当日の神様のご機嫌次第？！
だから「ドイツが絶対勝つ！」とはなかなか宣言しにくいみたい・・・

でも、もしかしたら外交官としてちょっと違った背景があるのかも？

まだ記憶に新しい昨年の「エリゼ条約５０周年」。
１９６３年にフランスとドイツとの間に結ばれた「不戦」の誓い。
それまでのフランスとドイツは非常に仲が悪く、いつもケンカばっかり。
それがそのままヨーロッパの戦争の歴史となり、２回の世界大戦をも引き起こす。
当時はどうしてもライバル心が悪いベクトルに動いてしまったんだ。
その結果お互いに失うものばかりで得るものが何もない、そう気が付くまで何度も何度も戦争を繰り返してきたんだ。

そしてフランスのド・ゴール大統領と当時の西ドイツのアデナウアー首相がお互いに信頼を築き両国のビジョンを想像しこの「エリゼ条約（仏独協力条約）」の締結に動いたんだ。

実はその少し前、フランスとドイツのケンカの原因とされる両国国境近くの石炭（エネルギー源）と鉄鋼（兵器の材料）の資源管理に関して、フランスのシューマン外相が「シューマン宣言」を発表。６カ国（フランス、西ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク）で仲良く管理するよう、後にＥＣＳＣ（欧州石炭鉄鋼共同体）を設立。（これがＥＵ発足の礎となったんだ。）

ケンカの原因を見事解消したのに、わざわざフランスとドイツに特化した条約を新たに作ったのはなぜ？

そこにはド・ゴール大統領とアデナウアー首相の２人の政治家の将来に渡る展望があったんだ。

（資源管理の）決りを作って、「はい、おしまい」ではなく、市民レベル、そして若者が積極的にお隣と交流を持ち、積年の対抗心から未来の友好を築く。お互いがお互いを赦し合い、理解することを目指したんだ。

１９６２年、フランスのド・ゴール大統領は第２次世界大戦後の精神的に疲弊しきったドイツの若者に向かって「偉大な国民」と演説。宿敵フランスの大統領の口から発せられたこの言葉は、どれほどの勇気と希望をドイツの若者に与えたことだろう！

エリゼ条約が結ばれるとフランスとドイツの若者はお互いの国を訪れ、交流し理解を深めていったんだ。
歴史の授業を通して史実を正しく学び、ひとりひとりが２度と戦争が起きないように考えているんだ。
研修生のティムさんも授業を通して歴史をしっかりと認識していると語り、戦前のわだかまりがウソの様に、フランスを「大切なパートナー」と言っている。

以前紹介したハニッシュさんの作文「ドイツとフランスの関係」はこちら ⇒ http://nekoblog-yg-japan-archive.blogspot.de/2013/01/blog-post_29.html

そんな仲良しのフランスと戦うなんて・・・
ちょっと複雑な気持ちになりますニャ～=^_^;=

(03.Juli 2014)