日本人とドイツ人はメールが長い!
「日本人とドイツ人って似てますよね」とよく言われますが・・・
本当にそうでしょうか?
電車が時間通りに来る、とか、なんとなくマジメなところとか、似ていなくもない気は確かにするのですが・・・・
でも、たとえば「仕事」に対する考え方は、
平均して日本人もドイツ人も比較的仕事に対して「マジメ」な考え方ではあるとは思うけれど・・・
でも、それでもだいぶ違うのですね。例えば、ドイツは年間の有休が最低でも30日(病欠はまた別にカウントされ、有休から引かれない)ある事からもわかるように、ドイツ人にとっての「仕事」は「休暇あっての仕事」なんです。よって、年がら年中仕事仕事で休めないんです~、というドイツ人は(どんなに仕事をマジメにするドイツ人であっても)あまりいないのが現状でございます。
上記に「病欠はまた別にカウントされ、有休から引かれない」と書きました。具体的に書くと、「スキー旅行(またはスノボ)に2週間出かけるために会社で有休をとり、でもそのスキー旅行中に脚を骨折してしまい、休暇後にまた何日か骨折のために会社を休む(イコール病欠)、なんて事も可能なわけですね。このケース、けっこうあったりします。しかも会社の同僚は「あら~、脚大変ね~」などと言っては同情し、ギブスにカラフルなペンでサインを書いてくれたりします。ちなみに、ギプスにサインを書くのは、ドイツの習慣みたいなもので、「早くよくなってね」の意味も込めてサインをするのですね。「休暇を取った後に骨折で病欠だなんて・・・」なんて言う人はまずいないわけです。
そんなこんなで、「休暇」や「病欠」に関する考え方は、日本とドイツでは正反対ですね。正反対と言えば、他にもあって、ドイツ人が相手に面と向かって意見を(たとえ失礼であっても)ハッキリ言いがち(時には露骨な印象になることも・・・)なのに対し、日本人はなんだかんだいって相手に気を遣いながら発言しますし、そういう「人間関係的な部分」でも、ドイツと日本はだいぶ違うと思うのですね。
・・・と、違いについて書いてしまいましたが・・・でもでもやっぱり似ている部分もあるのです!
冒頭のように「日本人とドイツ人はマジメ」「日本人とドイツ人は勤勉」というのもありますが、もうちょっとニッチな部分にスポットをあてると・・・・
あるんです、日本人とドイツ人のバッチリ似ているところ。
それは・・・・メールが異様に長いということ!(笑)
ビジネスメールを見ていると、アメリカ人は割と短めに分かりやすく(それこそメールでの返事が「OK!」だけのときもある)書く傾向があるようです。アメリカ人は、ビジネスの場であっても気軽にファーストネームを使うことからメールの書き出しからしてだいぶ短くなるのですね。Dear Ms. Watanabe HäfelinよりもHi Sandra のほうが短いですもんね。アメリカ人から、メールの始まりや終わりに長い挨拶のようなものが書かれたものを殆どもらったことがありません。アメリカ人のほかに、タイ人やシンガポール人、中国人とも英語でビジネスのメールのやり取りをした事がありますが、彼らも非常に短い。フレンドリーな短さというのかな。
ところが、ドイツ人、いや正確にはドイツ語圏の人(スイスやオーストリア、リヒテンシュタイン)からのビジネスメールは長い長い長い(笑)書き出しからして、Sehr geehrte Frau Watanabe Häfelinですからね。まあ、書き出しが長いのは、私の苗字が長いせいでもあります(笑)はい、認めます。そして本題に入る前に、また“Ich komme zurück auf unsere Besprechung letzten Samstag und würde Sie gerne fragen, ob…“(和訳「先日土曜日に行われたミーティングについてご連絡させていただいておりますが、質問させていただきたいのは…」)などとまた説明が続くのですね。メールの終わりも、“Ich wünsche Ihnen einen angenehmen Tag und verbleibe hiemit. Mit freundlichen Grüssen, …“(「それではこの辺で失礼しますが良い一日をお過ごしくださいませ。どうぞ宜しくお願い致します…」)と、終わりもまた挨拶が長いのです(笑)
そして、日本語のメールも長いですよね。社外の「お世話になっております」、社内の「お疲れ様でございます」。メールの最後の「ご検討の程、よろしくお願い申し上げます」「何卒宜しくお願い申し上げます」の挨拶も会社によっては社内でも欠かせませんし、その会社の社風によってはヘタにこれを欠かすと単に失礼な人になってしまいます。なので会社にもよりますが、社内であっても挨拶を抜かしてメールを短縮化すればいい、というものでもなさそうなのです。
そんな長い(日本語の)メールに慣れている私ですが、日本語の長いメールに負けないぐらい(笑)長~いドイツ語のメールが届くと、なんだか妙な笑いがこみ上げてきます。「ははははは・・・・こういうところ似てるよね、仲間なのよね」みたいな気持ちになったりします。メールを最初に送った人が長く書くと、返事をする人も長く書く傾向があるので、日本語やドイツ語でのビジネスメールは延々と長いメールが続くのですね(笑)
念のために書くと、先ほども書いたように、ドイツ人だけでなく「ドイツ語圏」の人はメールが長い傾向があるようです。あくまでも私の経験ですが…。スイス、オーストリア、ドイツ、リヒテンシュタインの方々の皆さんは、他のアメリカ人や中国人、タイ人よりもメールが長いのですね。
このメールの長さは言語的なものと関係しているのか、それとも挨拶を重んじているからなのか、それとも上下関係を重んじているからか、それとも、やっぱり「マジメさ」ゆえの長さなのかが気になるところでございます。
マジメで律儀だと、色々とアレもコレも…と、挨拶はもちろんのこと、色んな情報を一つのメールに詰め込みたくなるのかもしれませんね(笑)
・・・・と、私も長く書いてしまいました(笑)要は「日本人とドイツ人はメールが長い」「アメリカ人はメールが短い」ということを書きたかっただけなのですが、こんなに長くなるなんて(笑)
皆様、これからも宜しくお願い致します。
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サンドラ・ヘフェリン
ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴15年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社)、近著「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) など6冊。自らの日独ハーフとしての経験も含め「ハーフ」について執筆している。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、執筆、散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。
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