ハーフの名前のつけ方についてPart2
「桃太郎」と名付けられそうになるハーフのお話。前にハーフの子供の名前の付け方について書きましたが、今回は名前についてPart2です。
これは世の中の日独カップルに対して失礼を承知で書いているのですが、ハーフの立場から言わせてもらうと、ドイツ人の親が子供につけたがる日本名や、日本人の親がつけたがるドイツ名には要注意だということを言わせてもらいたい (笑)。ドイツ人、日本人、というよりも「その国の言葉がネイティブでない人がつける名前には要注意」と言った方が正しいかもしれない。
例を挙げると…
日独ハーフの友達がいるのですが、その人のお母様 (ドイツ人) は日本の昔話が好きで、特に「桃太郎」が好きだったんですね。それで男の子が生まれたら「桃太郎とつけよう!」と本気で考えていたようです(笑)。でも生まれた子が女の子だったから「桃子」にした。いやー、、、生まれてきた子が女の子で本当によかった! と私は思います。
ハーフはそうでなくても日本社会で目立つのに、「桃太郎」なんて名前をつけられて、いじめられたのではたまったものではありません。
変な日本語の名前を子供につけようとしている外国人が貴方の身近にいたら、勇気を出してその子の将来のためにもぜひ注意してあげてください。
逆の例として、日本人がドイツ語の名前を子供につける時にありがちなのは、「ドイツの立派な名前を」と思い、時代にそぐわない古い名前をつけがちなこと。今の時代にそぐわないWilhelmやFriedrichなどとつけると、日本で生活をするのであれば問題ないと思うけれど、もしその子が将来ドイツで生活することになったら、悪い意味で注目の的になることでしょう。
ドイツで今の時代に子供に Wilhelm や Friedrich とつけるのは、日本で子供に「権之助」や「権左衛門」という名前をつけるのと似たような感じ、と言ったらわかりやすいかもしれません。WilhelmやFriedrichは歴史上重要な人物の名前ですし、思い入れがあるのも分かるのですが、歴史は歴史で置いておいて、子供の「今」や「これから」を考えた場合、ドイツの現代的な名前をつけた方が子供は苦労をしないで済むかもしれません。
親としてトンチンカン系の命名を避けることができるよう、ぜひドイツ語の名前はドイツ語が母国語の人に、そして現代のドイツ事情に詳しい人に相談しましょう。同時に日本語の名前は、できれば日本語を母国語としている人、そして日本の感覚をちゃんと分かっている人にアドバイスを求めましょう。
こんなことを書くと、じゃ、日本昔話に出てくるような名前を子供につけてしまった人はどうすればいいの、という話になりそうですが、それはもう子供に強く生きてもらうしかないですね。ただこれからハーフの子供が生まれる日独カップルの場合は、やっぱり子供の名前をつける時に「日本語の名前は日本人の親に命名を任せる」のと同時に「ドイツ語の名前はドイツ人の親に命名を任せる」ことが上に書いたような桃太郎悲劇(←回避できたけれど)を防ぐ近道 & 早道だと私は思っています。
ホームページ「ハーフを考えよう」 を立ち上げましたので、是非のぞいてみてください。
サンドラ・ヘフェリン
ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴 13年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) など 5冊。自らが日独ハーフであることから「ハーフ」について詳しい。ちなみにハーフに関する連載は月刊誌に続き今回が 2回目である。趣味は執筆と散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。