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ハーフと愛国心 Part 1

ハーフと愛国心 Part 1

© catlovers (flickr.com)

ハーフと愛国心 Part 1

「ドイツと日本、どっちが好き?」— 日独ハーフはよくこの質問をされる。しかし、これは実はとても答えにくい質問だったりする。なぜかというと、まずハーフ本人に迷いがあり、どっちの国がより好きなのか分からない場合があるから。あとはどちらの国も同じぐらい好きな場合は「どちらも好きです」という無難な回答になってしまうけれど、そうすると「でも本当はどっちなの?」とツッこまれるしね(笑)。



仮にハーフ本人が例えば「日本よりドイツが好き」または「ドイツより日本が好き」と思っていても、それをハッキリと口に出すのは難しいんじゃないかな。だって、この「日本とドイツ、どっちが好き?」っていう質問をしてくるのはだいたい「生粋日本人」や「生粋ドイツ人」。でも、生粋ドイツ人を相手に「ドイツより日本が好き!」とか、生粋日本人を前に「日本よりドイツが好き!」なんて言えちゃうほどハーフはKYではないもんね。



私自身に関しては、どちらの国も好きなのだけれど、ドイツが好きだからといって、それを「ドイツへの愛国心」と言えるのか分からないし、日本が好きだからといって、それを「日本への愛国心」と言えてしまうのかも分からない。



「愛国心」という言葉、私にはなんだか「決定的」過ぎるんだ。この国の「全てが好き」ではなくて、この国の「コレとコレとコレが好き」でいいんじゃないかな、って私はいつも思ってる。それで、たとえば日本のコレが好き、っていうのも、なにもすごく難しい事である必要はなく、「おせんべいが好き」でもいいんじゃないかな。



なので「愛国心」について難しいハナシは次回のPart 2でお話しますので、今回は少し軽めに連想ゲームみたいに「日本」「ドイツ」と聞いて、パッと思い出せる 「好きなモノ」について書いてみたい。あくまでも私の好みですので、皆さんの好きなモノとはかなり違うかもわからない。パッと浮かぶものを書いたので、イメージ的なモノも多いですしね。



では好きな物リスト、まずは日本から。



「日本」と聞いてパッと思い浮かぶのは…



おせんべい・みたらし串だんご・そうめん・カキ氷・風鈴・セミの鳴き声・花火大会・ 由比ヶ浜の海・目黒の秋刀魚祭り・麻布十番祭り・盆踊り・サザエさんのテレビ番組・昭和の感じの商店街・銭湯・温泉・男の人のジンベイ・浴衣・縁側で飲む緑茶・日本酒と熱燗・カラオケ・西日が似合う昭和風の街並み・夕焼け小焼けの歌・電信柱・たこ焼き屋さん・焼きイモを売りに来る屋台の車



とザッとこんなところでしょうか。なんだか小学生のような感想ですが。



では「ドイツ」もいってみます。私はドイツのバイエルン育ちなので、Oktoberfest(オクトーバーフェスト)やDirndl(ディルンドル) 、バイエルンの旗など、ドイツ全体ではなくバイエルン限定のモノも混じっていますがご了承ください。



森の中のビアガーデン・そこで飲む1リットルジョッキのビール・Radler (ラードラー: スプライトとビールを混ぜた飲物。えええ?と言わないでください。美味しいです)・森の中の散歩道・Schweinebraten(シュバイネブラーテン: 豚の丸焼き)・Leberkaessemmel(レーバーケーゼセンメル: お肉をはさんだパン)・Streichwurst(シュトライヒヴルスト: ペースト状のソーセージでパンに塗る)・パンのにおい・Apotheke(アポテーケ: ドイツの薬局。入っただけで病気が治りそうな雰囲気がある)・香水のにおい・洗剤のにおい・自動車用 / 自転車用 / 歩行者用とキチンと分かれている広い道・夏の夜(夜10時ごろまで空が明るい)・バイエルンの白と青の旗・Wies`n(ヴィースン: ミュンヘンのOktoberfestのこと)・Dirndl(バイエルンの民族衣装) ・ Puma・革靴・万年筆・万年筆で書いた文字・炭酸入りのお水(Adelholzener社のがおいしい)・森・野原・小鳥の鳴き声・シェパード・バイエルン訛りのドイツ語(バイエルンの訛りは言葉はキツイんだけど、バイエルンは自分が育ってきたところなので、私には「ほのぼの」に聞こえます)



と、こんな感じかな。



ドイツ版のほうが日本版より少し長かったみたい?! いえいえ、説明が入ったからだけです。愛国心についてアレコレ考えてはみたけれど、私の愛国心はこの程度のものだったりします。



皆さんはご自身の国のどんなところが好きですか?





YG_JA_2189[1]サンドラ・ヘフェリン



ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴12年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) など5冊。自らが日独ハーフである事から、「ハーフ」について詳しい。ちなみにハーフに関する連載はドイツ・ミュンヘン出身。日本歴12年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) など5冊。自らが日独ハーフである事から、「ハーフ」について詳しい。ちなみにハーフに関する連載は月刊誌に続き今回が2回目である。趣味は執筆と散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。。趣味は執筆と散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン