ハーフだと不便なことPart4
前に、ハーフは区役所での手続きに不便が生じること、職務質問をされるハーフについて、そして不動産屋さんで苦労するハーフの話を書きましたが、今回は「ビジネス編」です。つまりビジネスの場におけるハーフの「不便」について。前回「その7」までお話ししたので今回は「その8」から。
ハーフだと不便なこと:その8
会ったとたんビックリ仰天されるハーフ:「ビジネス編」
ハーフだとビジネスの面においても不便が生じることがあったりする。私自身の話。その昔、私は展示会関連の仕事をしていて、メールや電話で各社の担当者との連絡作業をしていた。日本の会社とのやりとりが多かったこともあり、ビジネス上では私の日本名である「渡○○美」を使っていた。
展示会の前の何週間かは頻繁に各社の担当者と日本語でメールをやりとりする。電話でお話しすることもあった。
そして展示会の日にちが近づいてくる。「それでは、あさっての水曜日、11時にブースにお伺いします」とアポイントをとり、「お待ちしております」などのやりとりが続く。
それまでのやりとりは全てメールや電話で済ませていたため、展示会で初めて「実際に会う」わけだ。つまり初のご対面。
で、当日。
先方のブースに出向き、私が「こんにちはー。はじめましてー。いつもメールでやりとりさせていただいている渡○ですー」と声をかける。そして担当者が振り向いて、私の顔を見ると……そのままこの人ひっくり返っちゃうんじゃないか、、、と思うほどギョッとした表情をされることがある。(ギョッとした顔をするのは比較的年齢層の高い男性が多かった。だいたい団塊世代あたり。)
そしてオジサンはショックのあまり、かたまってしまい言葉に詰まる。シーンとしてしまう。場が持たないので、私、「改めて自己紹介しますねー。私、○○社の渡○です。こちら名刺ですー。それと、それと●※△▼※~」と名刺をお渡ししつつなるべく明るい調子で! と自分に言い聞かせながら話し続ける私。
オジサンは、私がお渡しした名刺に書いてある「渡○○美」の名刺を見ながら、そして私の顔をチラッと見ながら、「これが渡○さんか…」という顔をする (笑)
まあ大体は時間が経てば普通に仕事の話ができることが多いのだけれど。でもやっぱり最初のあのギョッとしたような顔、「な、な、なんなんだ?! この女?!!」的な顔は傷つくなあ (笑)
今まで電話やメールでやりとりをしていた渡○○美さんが「普通の日本人女性」ではなく、実はこんなにヘンテコな外人顔だった、というのはオジサン担当者にとってかなりショックなようで、そのショックから立ち直るのにかなりの時間を要すらしい (笑)
団塊世代に近い日本人男性にとって、「普通に日本人」だと思っていた相手が実はそうではなかった、と分かった時の衝撃度は計り知れないものがあるらしい (※お断り:全員ではありません)。
不思議だなー。
今までメールや電話でやりとりをしていて、日本人だと思っていた人が、外人顔なのって、そんなにショックな事なのかな?
と私は毎回考える。
しかし、私の経験で言うと、20代、30代の男性の担当者の場合は比較的アッサリしていて、私の顔を見て「お!」という表情を一瞬するものの、すぐに普通に対応してくれることが多い。
そして女性の担当者の場合も、「あらー! 外国人だったんですね! 渡○○美さんだなんて不思議―♪」と笑顔で対応してくれることが多い。
一概に言えないところもあるのだが、ある程度は「世代によって」外国人またはハーフへの考え方や対応が違うのが面白い。
それにしても、私の存在が相手にショックをあたえる事があるなんて私もショック (苦笑)
この一連の話、「そんなに気にする必要ないよ」という見方もできる。でも、やっぱりビジネスでは変なショックや個人的な「!!?」が無いに越した事はない。現にビジネスにおいても「第一印象が大事」だとも言われているし、その「第一印象」で相手にショックを与えてしまうなんて、私が社会人失格のような気分にさせられる。
この経験から、私も学習をして、メールでやり取りを始める最初の段階から「渡○○美」という純粋な日本人名を使う事をやめた。渡○サンドラ○美、というふうに真ん中に横文字の名前も入れてメールを書くようにした。
そのほうが初めて会った時に相手は驚かないみたい。
しかし私はそれでいいけど、横文字の外国名や横文字のミドルネームを持っていないガイジン顔のハーフはどうすればいいのだろう?とも思う。たとえば、容姿はドイツ人だけど、名前は「田中明子」みたいな名前の人もいるわけで。
その場合は、事前に電話やメールで「ワタシは外人顔ですが、展示会でお会いしたときには驚かないでくださいね」と、事前に電話やメールで連絡を入れたほうがよいのでしょうか(笑)「驚かないでくださいね」なんて「お化け」みたいだけど…。
…今日はビジネスでがんばるハーフもタイヘン!!というお話でした。
でも仕事はなんでも大変ですよね。お互いにがんばりましょう!
★コラム 校則に引っかかるハーフもご覧ください。
サンドラ・ヘフェリン
ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴 13年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) など 5冊。自らが日独ハーフであることから「ハーフ」について詳しい。ちなみにハーフに関する連載は月刊誌に続き今回が 2回目である。趣味は執筆と散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。