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元ビール工場が文化を醸造する場に。「クルトゥアブラウエライ」

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元ビール工場が文化を醸造する場に。「クルトゥアブラウエライ」

こんにちは。ベルリン在住ライターの久保田由希です。私はときどき、日本から旅行でいらした方にベルリンをご案内するのですが、そのときによく言われるのが「ベルリンて、建物の使い回しが多いですね」という言葉。

確かにそうなんです。例えばこのシリーズの第4回でご紹介した給水塔も、現在は住居として使われています。そのほかにも、元郵便局、元屋内市場など、以前の建物が現在は別の目的で使われているケースはとても多いのです。

さて、ではここで問題です。

この建物は何に使われていたでしょうか?

この建物は何に使われていたでしょうか?



この写真の建物は、元は何だったでしょうか?  1.お城
2.工場
3.教会
正解は……2.の工場です! この記事のタイトルを見れば想像がつくかもしれないので、簡単だったかもしれませんね。今回はこの場所をご案内しましょう。

ベルリンの人気ビール、シュルトハイス

この場所は現在クルトゥアブラウエライ(Kulturbrauerei)といいます。文化醸造所という意味です。「文化を醸造って?」と思われるかもしれません。じつはここは、かつてシュルトハイス(Schultheiss)というビールメーカーの醸造所だったんです。
シュルトハイスはかつてのオーナーの名前。彼は以前の持ち主から1853年にこの場所を買い取って、製品に自身の名前を冠してビールを販売したところ評判になり、ベルリンの数ある醸造所の中でも有名になりました。その後オーナーは何度も変わりましたが、シュルトハイスの名は残り、ベルリンビールの人気銘柄としていまもなお愛飲されています。ちなみに、私はクナイペ(居酒屋)に行くのが好きなのですが、シュルトハイスを提供しているベルリンのクナイペをよく見かけます。

ベルリンの、とあるクナイペで。クルトゥアブラウエライ内にはレストランはありますが、いわゆるクナイペはありません

ベルリンの、とあるクナイペで。クルトゥアブラウエライ内にはレストランはありますが、いわゆるクナイペはありません



でも、クルトゥアブラウエライではもう醸造されていません。ビール醸造所としては1967年に役割を終えました。現在シュルトハイスの醸造所は、ベルリンのヴァイセンゼー(Weißensee)という地区にあります。

文化醸造の場

ではいまこの場所は何になっているのでしょうか? まずは入り口の門を通りましょう。入り口は3ヵ所ありますが、これから入るのはシュレツキー通り(Sredzkistr.)側の入口です。

 

シュレツキー通り側の入口から入ります

シュレツキー通り側の入口から入ります



すると正面にこんな建物が目に入ります。

正面の建物。迫力があるレンガ建築です

正面の建物。迫力があるレンガ建築です



正面に見える、時計の付いている建物は、以前は瓶ビールの冷蔵室だったところ。現在ここにはオフィスやダンススクールが入っています。

そして左側に目を向けると、こういう風景が。壁にはFlaschenbier- Abteilungと書かれています。

Flaschenbier- Abteilungと書かれた建物

Flaschenbier- Abteilungと書かれた建物



Flaschenbier- Abteilungを直訳すると、瓶ビール部門という意味。ここではビールを瓶詰めにする工程が行われていました。現在はREWE(レーヴェ)と書かれた赤い看板がかかっています。

レーヴェはスーパーマーケット。私はここでよく買い物をしています。元ビール工場にあるスーパーだからか(?)、ビールのラインナップがいいんです。ちなみにドイツでは缶ビールが増えつつありますが、主流はまだまだ瓶ビール。瓶には80セントの保証金があり、購入の際は保証金も含めた金額を払います。スーパーの空き瓶回収コーナーに戻すと、保証金は返ってきます。ペットボトルも同じ仕組みです。

旅行者にうれしい、ツーリストインフォメーション

旅行者にうれしい、ツーリストインフォメーション



スーパーの向かい側には、ツーリストインフォメーションがあります。観光の相談があれば、ここに行ってみてください。ツーリストインフォメーションの角を曲がると、壁面に敷地全体の見取り図があります。ここの敷地は約2万5000㎡。見取り図があれば、敷地内にお目当ての施設がある場合も迷わずに行かれます。

約2万5000㎡もの広い敷地

約2万5000㎡もの広い敷地



そのほか広大な敷地内にあるのは、映画館にクラブ、劇場など。この場所はその名前が表すとおり、まさに文化醸造所なのです。

11月下旬からクリスマス前までの約1ヵ月間は、クリスマスマーケットも開かれます。とても雰囲気がいいので、もしこの時期にベルリンにいらっしゃることがあれば、ぜひ立ち寄ってください。北欧風のコンセプトで、トナカイのソーセージなども売っています。 2019年は、11月25日から12月22日まで開催されます。

2019年は11月25日から12月22日までクリスマスマーケットが開かれます

2019年は11月25日から12月22日までクリスマスマーケットが開かれます



 

クリスマスマーケットでは屋台や乗り物を楽しんでください

クリスマスマーケットでは屋台や乗り物を楽しんでください



東ドイツ時代の生活を実感できるミュージアム

クルトゥアブラウエライ内の施設で、私がおすすめしたいのが「ミュージアム in クルトゥアブラウエライ」(Museum in der Kulturbrauerei)。ここは東ドイツ時代の日常生活を展示したミュージアムです。職場や住まい、日常の買い物、余暇など、当時の様子がよくわかります。入場無料なので、立ち寄ってみてください。

ミュージアム入り口。展示室は日本式2階です

ミュージアム入り口。展示室は日本式2階です



 

東ドイツの典型的なアパートを再現したミュージアムのコーナー。このようなインテリアは現在でもわりとよく見かけます

東ドイツの典型的なアパートを再現したミュージアムのコーナー。このようなインテリアは現在でもわりとよく見かけます



さて、ミュージアムまで来たら、この辺りで敷地は終わりです。ミュージアムの先に出入り口があるのでここから出てもかまわないのですが、ちょっとひと休みしていきましょう。 ここは元ビール醸造所。となれば……やはりビールが飲みたくないですか(私だけでしょうか)? 最初に入ったシュレツキー通り入り口の脇に、レストラン「フランツ」(Frannz)があるんです。

夏は小さな庭がビアガーデンになります。レストランには庭の左手に見える階段を上ってください

夏は小さな庭がビアガーデンになります。レストランには庭の左手に見える階段を上ってください



 

ベルリンのビールで乾杯!

ベルリンのビールで乾杯!



「フランツ」にはシュルトハイスビールはありませんが、ベルリンのマイクロブルワリー「ホップス&バーレー」(Hops & Barley)のビールが飲めるんです。「ホップス&バーレー」はベルリン・フリードリヒスハイン地区にあり、醸造所と同じ場所にバーも併設しているので、その場でも飲めますよ。 では、おつかれさまでした。かんぱ〜い!
(お酒は二十歳になってから)

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)。散歩、写真、ビールが大好き。

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久保田 由希