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整体師として渡独、ベルリンで勤務 中島圭さん・阿部礼里さん

左から「ベルリン整体」の中島さん、吉川さん、阿部さん。

左から「ベルリン整体」の中島さん、吉川さん、阿部さん。

整体師として渡独、ベルリンで勤務 中島圭さん・阿部礼里さん

もしこの「ドイツで羽ばたく日本人」コーナーをずっと読んでいただいているなら、2015年4月に登場してくださった吉川茜さんを覚えていらっしゃいますか? (→ベルリンで整体サロンをオープン 吉川茜さん

当時ご自身の整体サロンを開いた吉川さんですが、その4年後となる2019年6月現在、二人の日本人女性整体師が吉川さんのサロン「ベルリン整体」で勤務しています。そのお二人とは、中島圭(なかじま・けい)さんと阿部礼里(あべ・れいり)さん。どのような経緯から、ベルリンに来たのでしょうか。

「ベルリン整体」の施術室は2つあります。

「ベルリン整体」の施術室は2つあります。



整体を始め、幅広い知識と技術を修得した中島さん

中島さんと吉川さんは、日本で同じ整体サロンに勤務していました。同期入社で同じ研修チームにいたことから、親しくなったそうです。その後吉川さんはベルリンに移住し、冒頭の「ドイツで羽ばたく日本人」コーナーでご紹介した通りの活動を続けてきました。

中島さんは、整体サロン勤務以前に修得したエステティックの技術に加えて、カイロプラクティック、リフレクソロジー、コルギ(韓国で生まれた、頭蓋骨と顔の歪みを矯正する施術)など、さまざまな「骨と筋肉のバランスを整える施術法」を日本で学びました。

その過程で、精神的な疾患や婦人科疾患を抱える人も診たことから、今度はメンタル面のケアもできるようにと、日本で鍼灸(はり師、きゅう師)の国家資格も取得(注:ドイツで鍼灸治療を行う場合は、ドイツの国家資格が必要です)。体のバランスを整えることで、メンタル面にも効果が期待できるそうなのです。

世界一周を達成し、ベルリンへ

こうして各種の技術を学んだ中島さんは、それまでのサロンを退社して、世界一周の旅に出ることに。バックパッカーとして世界54カ国を周りました。思い切った決断に聞こえますが「世界一周旅行の目標を立てたことで仕事もがんばれたし、貯金もできました」と、自分自身にとってプラスになったそうです。家族も「やりたいようにやればいい」と、応援してくれました。

バックパッカーの旅が終わり、達成感を得た中島さんは「自分の基本がしっかりあるから、どこにでも住める」と思うようになりました。

この発言は私もわかる気がします。自分の中に基準があるということは、一つひとつの出来事に対して判断を下し、行動できるということ。それはどこに住んでいても、生きていく上での基本だと思います。環境によってその基準は変わるでしょうが、日々新たな経験を元に決断して行動できる人は、どこにいても強いと思います。

「住みたいと思った国に住もう」と考えていた中島さんに届いたのが、「ベルリン整体」で働かないかという吉川さんからのオファー。ドイツには旅行で訪れたことがあり、自然が多く自分の気持ちに余裕を持って生活できる印象を持ったそうです。

そして2019年6月に渡独。まずは1年間ベルリンで働くことを目標に、ドイツ入国後にワーキングホリデービザを申請・取得しました。語学の勉強と仕事の両立を目指しています。

海外生活の経験が豊富な阿部さん

一方、阿部さんは2018年10月にドイツへ渡り、「ベルリン整体」で働き始めました。きっかけは、中島さんを通して吉川さんが整体師を探していると知ったことでした。

阿部さんは、中島さんと同じ鍼灸院で施術していたほか、マッサージも学びました。海外には合計で約10年間滞在しており、アメリカのクルーズに鍼灸師として同乗した経験もある国際派です。

これまでイタリアやインドネシアなど多くの国に住んできた阿部さんですが、ベルリンに来る前はこの街についての知識はなかったとのこと。実際に住んでみると、インターナショナルで自分の居場所があると感じられるそうです。

ドイツ人は、自分と生活の潤いを大切にしていると感じます。そういう人生を送りたかったので、ベルリンは合っています」と、阿部さん。公園が多く、整体サロンでの施術時に小鳥のさえずりが聞こえてくるのもベルリンの良さだと話します。

もうひとつの施術室。どちらも静かで、リラックスできます。

もうひとつの施術室。どちらも静かで、リラックスできます。



コミュニケーションと言葉

「ベルリン整体」に訪れる人たちは、日本人とドイツ人が約3対2の割合だそうですが、当然ながらそのほかの国の出身者たちもいます。

中島さんも阿部さんも「日本では足専門、顔専門など治療の専門分野が細分化していますが、ここではトータルに施術できるし、多様な人のさまざまな疾患を診られるので勉強になります」と言います。

施術の上で欠かせないのは、コミュニケーション。そこで大切なのが言葉です。中島さんはこれまで独学で英語を学んできましたが、これからドイツ語の学校にも通う予定です。現在は日本語の説明を英語に訳したりなど、施術の会話を深めるために努力しています。

阿部さんは世界各国で暮らしてきたので、英語は堪能です。語学学校でドイツ語も習ったそうですが、可能な人とは得意な英語で会話をしています。

阿部さんによれば、「コミュニケーション能力がある人は、海外でも強みを発揮できます」とのこと。そのためにはまず自分の意見を持ち、それを言葉にして、相手にわかってもらえるようにアピールすることが大切だそうです。

自分の意見を発信するという点で、中島さんが話していた「自分の基本がある」という内容につながるような気がします。結局コミュニケーションに重要なのは、語学の堪能さよりもまず自分の意見を持ち、相手を理解しようと努めることなのではないでしょうか。

施術スタイルの異なる三人が症状に合わせて対応

吉川さん、中島さん、阿部さんは全員整体師ですが、施術のスタイルはそれぞれ異なります。三人体制になったことで、整体のほかに、小顔矯正、オイルトリートメント、リフレクソロジーなど施術内容が幅広くなりました。

三人になって、オイルトリートメントなど施術内容が広がりました。

三人になって、オイルトリートメントなど施術内容が広がりました。



「三人いるので、お客さんの症状に合わせてきめ細かく、トータルに対応できるようになりました」と、吉川さん。サロンオープン当初から抱いていた「整体で音楽家をサポートする」という夢は既に叶えていましたが、中島さんと阿部さんが加わったことで、さらに一歩進めるようになりました。

吉川さんのサロン開業が中島さんと阿部さんの移住につながったように、今度はお二人の活躍が新たな人を呼ぶことになるかもしれません。

●吉川茜さんの整体サロン「ベルリン整体」
(完全予約制。予約はHPに記載の電話かメールで)
https://berlinseitaijpn.jimdofree.com/

 

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)。散歩、写真、ビールが大好き。

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久保田 由希