ドイツ情報満載 - YOUNG GERMANY by ドイツ大使館

ドイツ的な仕草、日本的な仕草

©Colourbox.de

ドイツ的な仕草、日本的な仕草

今回は「仕草」について。・・・日本人の仕草VSドイツ人の仕草って、だいぶ違うと感じたことはありませんか。

 

ドイツ人がよく言うのは「日本人はうなずく回数が多い」ということ。確かに見ていると、日本人は相手の話を聞いている時や会話中などに「うん、うん」とうなずく回数が多いと思います。実際にはドイツ人もうなずいたりはするのですが、「頻度」でいうと明らかに日本人のほうが多いですね。

 

ところで、ドイツでは絶対にやらないけど、日本でときたま見る仕草。それは、「わたし?」と自分の鼻を指で指す仕草。シチュエーションとしては、たとえば居酒屋で大勢で飲んでいて、自分の名前が聞こえた気がするけど、確証が持てない。そんなとき、「わたしのこと?」と自分の鼻を指して聞いたりします。これはドイツでは見かけない仕草なので、ドイツ人に「あれは何?」と聞かれることがあります。(ちなみにドイツだと「自分」を指すとき、自分の胸に手を当てます。)

 

そのほか日本的な仕草といえば、謙遜をする時に「そんな、そんな・・・」と言いながら自分の顔の前で片手をパタパタと振ったり、携帯電話で話している最中にお辞儀をしてしまったりするのも日本的です。よく考えてみたら、相手が見ているわけではないのに、お辞儀をしちゃうって面白いですよね。でもこれ、私もたまにやっちゃいます(笑)私ももう日本に20年ぐらいいるので、仕草なども日本人っぽくなってきているようです。

 

ちなみに、このあいだドイツに帰った時、カバンを半分開けたままエスカレーターに乗っていたら、一緒にいた友達に「危ないからカバンのチャックは閉めたほうがいい」と言われました。・・・この場合は「仕草」ではありませんが、治安というものについて普段ニッポンで生活している中で安心しきっているのを、そのままドイツでも実践しちゃった感じですね。しかし油断はキケンですので、注意してくれた友達に感謝。

 

そんなこんなで、その人の「仕草」や「立ち振る舞い」が“日本人的”であれば、元々は外国の人であっても、もう日本に住んで長いんだろうな~、などのヒントになるかもしれません。

 

さて、ではドイツ的な仕草といえば、どんなものがあるのでしょう。

 

まず、ネガティブなものからで申し訳ないのですが、ドイツ的というかヨーロッパ的なリアクションというか顔の表情には、やたらと「舌打ち」をしたり、「舌打ちをしながら目を一回転させる」というものがあります。文章だけだとちょっと分かりにくいかもしれませんので、実演してみました(笑)こちらの6:36の後をご覧くださいませ。

 

念のために断っておくと、これはドイツでも決して感じの良いとされる表情ではありませんが、でも、けっこう見かけるのですね。。何かに失敗した時や、呆れている時、怒っている時など、ドイツではこの表情の人をよく見かけます(笑)もちろんサービス業の人がこの表情をやっていることも・・・。

 

あと、これはあくまでも「比較」の問題なのですけれども、アメリカのようなパーッと明るい笑顔(歯が真っ白!みたいな)というものはドイツには少ないです。もちろん、笑わないわけではないですが、何か理由があったら笑顔が登場する感じで、のっけから笑顔!はあまり(アメリカと比べると)ないかもしれません。どちらかというと、(自分も含めてですが)眉間にシワがよっている表情の人が多いですしね(笑)

 

それ以外のドイツ的なものといえば、ドイツ人は平均して皆さん歩くのが早いです。内股はあまりおらず、大股で早いスピードで歩くので、うっかりしていると置いて行かれちゃいますよ!(笑)しかも歩き方が「堂々」としていて、威勢よく(?)歩行に合わせて手もブンブン振りながら歩いている人が多い印象。

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そしてドイツに限ったことではありませんが、ヨーロッパではやっぱり「アイコンタクト」が大事!会議などで話している時はもちろん、道を歩いていて知らない人とすれ違った時にも、相手の目を見てニコッとします。私は20年前に日本に住み始めた時、日本でもこれをやっていたのですが、なかなか笑い返してくれる人がいなくて、当初は寂しい思いをしました(笑)最近は時代が変わったのか(?)こちらのアイコンタクトにもニコッと返してくれる人が多くなった気がします(笑)

そのほかにも色んな違いがありますが、今回はこの辺で。それにしても、その国に長く住むと、自分が気が付かないうちにその国のジェスチャーなどが身についていることも。日本人が長くドイツに住むと、歩くスピードが速くなるのと(笑)人の目をジッと見るようになります。

そう考えてみると、人間ってやっぱりこういう小さいことでも周りの環境で変わるのですね。面白いです。

ところで「仕草」で気になっていることがあります。それは「ドイツでは一般的ではない仕草」を誰かがすると、ドイツ人の反応があまりよろしくなかったりすることです。ニッポンにいるドイツ人に関してはそんなことはないのですが、「ドイツにいるドイツ人」の一部は容赦ないというか、ちょっと変わっている仕草などに対して拒否反応を示す人が多い気がします。「変なの」という視線を向けてくるので、寛容ではないというかシビアだなと感じます。私もドイツで短期滞在中に、携帯で話しながらお辞儀のようなもの(そんなに深いお辞儀ではない)をしてしまったのですが、周りにいる人の「あの人、何やってるの・・・?」「何あの人バカじゃない?」的な視線が痛かったです(苦笑)私の見た目が日本人っぽければ、周りの反応も違うのかもしれませんが。・・・でもまあそんなことは気にせず、違いを楽しんじゃうが勝ちですね。

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン