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コミュニティの場を作ろうと、ドイツで起業 米田賢太郎さん

起業支援コンサルタントとしてベルリンで数々のイベントを開催する米田賢太郎さん。

起業支援コンサルタントとしてベルリンで数々のイベントを開催する米田賢太郎さん。

コミュニティの場を作ろうと、ドイツで起業 米田賢太郎さん

「イベントを通じて人々をつなげるコミュニティを作りたい」とドイツで起業した、起業支援コンサルタントの米田賢太郎さん。日本食、サルサ、音楽と、幅広いテーマのイベントを企画・進行させています。精力的に活動中の米田さんですが、じつは日本の大学院で学んでいた頃は大企業に就職し、高年収の生活を送ることが目標だったそうです。そこからどうやって現在の活動につながったのでしょうか。

大学院在学中にドイツでインターシップ

「大学院生だった頃は、大企業に入って年収1千万を稼ぐという考え方しかなかったんですよ」
そう話す、米田賢太郎さん。

広島県出身の米田さんは、山口大学在学中に1ヵ月間のカナダ留学を経験しました。九州大学大学院に進学してからは、海外に行きたいとVULCANUS in EUROPE(ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ)という、日本の理工系学生を対象にしたEU企業インターンシッププログラムに応募。25名の参加者のひとりに選ばれ、大学院を1年間休学してドイツに滞在しました。

プログラムの内容は4ヵ月間ベルリンで語学研修を受け、その後南ドイツ・フリードリヒスハーフェンの自動車部品会社で8ヵ月のインターシップを行うというもので、奨学金も得られました。

ここで米田さんは、7時半頃から出社し残業はせずに16時頃で退社、飲み会もなしというドイツ式の働き方を経験しました。日本では知らなかったライフスタイルでした。

「日本の大企業で高い年収で働くのが目標ということを海外の人に話したら、『人生、それで楽しいの?』という反応が返ってきたんです」
そこから米田さんの価値観が変化していきました。

ドイツ企業数社に勤務

大学院卒業後は、日本の大手電機メーカーに就職。そこでは海外勤務を希望したものの、受け入れられずに1年9ヵ月で退社して、日本から就職活動をしていたドイツ・インゴルシュタットにある自動車関連企業に入社しました。

ドイツでの就職に関しては、語学と経験が重要でした。ドイツ企業ですが、仕事はIT系なので英語が基本です。大企業ほど英語で大丈夫です」と、米田さん。

その企業で1年半勤務した後に、上海にある別のドイツ企業からヘッドハンティングを受け、エンジニアセールスマンとして上海に渡りました。日独産業協会や在日ドイツ商工会議所にプロフィールを掲載していたことから、声がかかったそうです。

その企業ではトップと意見が合わずに1年で退社しましたが、米田さんは上海滞在中に初めてイベント運営チームに参加。運営メンバーとして日本の祭りをテーマにしたイベントを開催したところ、現地在住の日本人を中心に約800人が集まりました。ここから米田さんのイベントビジネスがスタートしました。

その後いったん日本に帰国した米田さんは、再び日本からドイツ企業に応募し、今度はベルリンの企業でエンジニアのポジションを得てドイツへ。こうしたエピソードをうかがうと、語学と職務経験はやはり大きな強みだと思います。

上海で開催したイベント。会場が日本のMATSURIに。

上海で開催したイベント。会場が日本のMATSURIに。



 

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上海で開催したMATSURIイベント。

上海で開催したMATSURIイベント。



集客ができたらイベントを開催

上海でのイベントには現地日本人が大勢訪れましたが、ベルリンでは現地の人々を巻き込んだイベントを行いたいと米田さんは考えています。イベントビジネスを本格的に行うために、2018年秋に ”ISM” という会社名で起業をしました。起業そのものは、専門のサポート会社に依頼したのでそれほど大変ではなかったそうです。

現在企画しているイベントはいくつかありますが、そのひとつが “Taste Japan Festival” 。日本からプロを呼び、日本食やサービス、技術をベルリンで紹介するイベントです。

「日本のものを海外でアピールしたい人たちをサポートしたいんです。例えば日本でうどん屋やラーメン屋をやっている人たちと、現地の人がコミュニケーションを取れるように手助けしたいですね」

そのほかベルリンラーメンプロジェクトなども企画中。こうした一連のイベントは、まず先にFacebookページを立ち上げ、企画内容を説明し、参加予定者が一定数以上集まったところで実施するというのが米田さんのやり方です。最初にイベント実施を決定してから集客をするのではなく、その逆。イベント開催時には、すでに集客ができているという流れです。

まずFacebookページを作成し、参加予定者が集まったところで開催。

まずFacebookページを作成し、参加予定者が集まったところで開催。



 

また、ベルリンのレストランで、シュタムティッシュ(日本人と現地人の交流の場)”Udon & Gyoza” や、ビジネスイベント” Start a business: Workshop for entrepreneurs”、サルサ教室も開催しています。

じつは米田さんはダンスのサルサが得意で、ベルリンで友人たちに教えるうちに規模が拡大。現在は講師を雇い、ダンススタジオで週15回のレッスンを行っています。これも米田さんにとってはひとつのコミュニティです。

ベルリンで行ったビジネスイベント。

ベルリンで行ったビジネスイベント。



 

異国の地で大切なコミュニティ

イベントを通じて人々をつなげ、コミュニティを作りたいと願うのは、米田さん自身がドイツに来た当時に友人がいなかったから。ヨーロッパの人々に囲まれてコンプレックスもあったし、心細かったそうです。だからといって、日本だけにいたのでは海外の価値観に触れる機会はなく、ひとつの見方でしか物事を見られなくなってしまうと、米田さんは話します。

「外国人とコミュニケーションを取ることは大切です。コミュニティを作って、心細い思いをすることなく交流できるようにしたいです」

これからもさまざまなイベントを企画・開催していく米田さん。イベント内容はこちらのページで確認できます。
Meet Japan
https://www.facebook.com/MeetJapanBerlin/

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)。散歩、写真、ビールが大好き。

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久保田 由希