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自由なライフスタイルを追求し、ベルリンでリモートワーク 丸田絵美子さん

日本の会社員として、ベルリンの自宅で働く丸田絵美子さん

日本の会社員として、ベルリンの自宅で働く丸田絵美子さん

自由なライフスタイルを追求し、ベルリンでリモートワーク 丸田絵美子さん

日本の会社の社員として、ベルリン支局に勤務。しかも自宅でリモートワーク。こう聞くと、理想の働き方と思う人も多いかもしれませんね。丸田絵美子さんは、10年かけて自分の理想とするライフスタイルをベルリンで実現させました。会社員として海外で働きたい方、読んでみてください。

 

丸田さんが勤務する会社のベルリン支局がある、"Factory"。ベルリンのスタートアップシーンを牽引するスペース。

丸田さんが勤務する会社のベルリン支局がある、"Factory"。ベルリンのスタートアップシーンを牽引するスペース。



 

 

 

 

海外勤務には、語学プラス経験が重要

 

「心と体に余裕を持ちながら、シンプルでエコな暮らしをしたいと、ずっと思っていました。それが今、ベルリンで実現しています」と話す、丸田絵美子さん。

もともと海外に興味があった丸田さんは、高校で外国語学科に在籍して英語を重点的に学びました。上海に1年間留学したこともあります。

そうした経験を経て、2006年に現職に第二新卒として入社。当初から海外勤務を希望していましたが、すぐには叶わず、いったんは中国の会社に転職することも考えたそうです。

「そのときは、海外で働くならアジアかなと考えていました。会社に勤務しているときも中国で就職活動をして、内定までいただいたんです」

 

ところがその後、社内で海外プロジェクトが発足することになり、丸田さんはプロジェクトリーダーに就任することに。中国の会社へ転職するか、社内に残って海外プロジェクト任務に就くかで迷いましたが、上司や役員と相談を重ねた結果、社内に残り、経営直下のプロジェクトで経験を積むことを選択しました。このとき、会社が個人の人生や成長について、会社と従業員という枠組みを超えて、真剣にオープンに相談に乗ってくれたことがその後の経験にもつながり、ありがたかったといいます。

 

やがて2015年に、会社がベルリンに初の海外支局を創設。それまで社内で働き、ノウハウを蓄積してきた丸田さんが、海外勤務のチャンスをつかむことになりました。

じつは当初、丸田さんはベルリンにまったく興味がなかったと言います。

「それまでヨーロッパは、遠い存在でした。手が届かないと、自分で勝手に思っていたんです」

しかし支局の立ち上げを機に、丸田さんの中でヨーロッパが一気に近づいてきました。そして2016年8月にベルリンに移住。駐在員として、ベルリンで引き続き働いています。ベルリンにオフィスはありますが、基本は自宅でのリモートワークです。

「海外移住を希望して、実際に機が熟すまで10年かかりました。でも日本で経験を積んで、ちょうどいいタイミングだったと思います」

 

多様な働き方を会社が認めて、お互いウィンウィンの関係に

 

丸田さんはベルリン勤務に伴い、理想のライフスタイルに近づけるように会社と勤務条件の話し合いを行った結果、現在のような働き方となったそうです。「会社も社員もウィンウィンです」と話しますが、どのように実現できたのでしょうか。

 

企業家やフリーランサーが集まる "Factory" は、会議室、コワーキングスペースなどから成る。会員制。

企業家やフリーランサーが集まる "Factory" は、会議室、コワーキングスペースなどから成る。会員制。



 

 

丸田さんが働く会社は「インターネットで世界をあたたかくつなぐ」を目標として掲げています。インターネット上にコミュニティサイトを作り、ワールドワイドに人々がつながるイメージだそうです。その第一歩が、日本企業と消費者を結ぶコミュニティの立ち上げです。各コミュニティは大きな1つのモールでつながっており、消費者はモール内にある各企業のコミュニティを自由に行き来できる仕組みです。

そのシステム構築からコミュニティの企画・運営、コミュニティ活動のデータ分析までをトータルで行うことが特徴で、その業務の多くを担当してきたのが丸田さんでした。

 

「ノウハウを持った経験者が辞めてしまうのは、会社にとっては大きなデメリットとなります。ですから会社は、私の希望する働き方を認めてくれたんですね。実績を積み、きちんと成果を出して、会社との信頼関係を築き続けることが前提ですが、それさえあれば、会社は多様な働き方を認めてくれます」と、丸田さん。

 

会社にとって、経験のある社員は財産だと思います。また、社員が多様な働き方をして、その経験が仕事に生きれば、会社にもメリットとなるのではないでしょうか。現代は技術の進歩によって、働き方の選択肢が増えています。それはつまり、多様な生き方ができるということ。優秀な人材を確保する意味でも、会社は柔軟に対応していくことが重要ですし、働く側にとっては経験値を上げることが、理想のライフスタイルに近づく鍵となりそうです。

 

時間がゆったり流れるベルリンの生活

 

ベルリン支局の話が出るまで、ベルリン移住は頭になかった丸田さんですが、実際に来てみて、とても暮らしやすいと話します。

「ベルリンの人たちは、自分軸がある暮らしをしていると感じます。自分の中にある価値観を大切にして生きているんですね。そういう環境は自分にとって生きやすいですし、精神が解放されます」

 

東京での生活と同じことをしているはずなのに、なぜか時間の流れがゆったりしていると感じるとか。その理由のひとつは、恐らく人々の付き合い方に関係しているのでは、と考えています。

「例えば友人とお茶をするとき、日本だとお互いに気を使って、なかなか切り上げられないことがあると思います。そうすると、人と会っていてもその時間に集中できないというか……。でもベルリンの人はサバサバしていて、切り上げたり、断ったりしても気まずくなったりしないんですね。だからこそ、会っている時間の密度が濃くて、満足できると思うんです」

 

短い時間でも集中していれば、満足度も成果も上がるのはわかります。それはプライベートも仕事も同じこと。確かにドイツ人は「あなたはあなた、私は私」という意識が強いと思います。お互いを縛り付けない関係は、オンとオフのメリハリをつけやすいのかもしれません。

 

サルサというコミュニケーション手段で、海外に居場所を作る

 

プライベートでは、趣味のサルサを楽しんでいる丸田さん。東京で習ったサルサが、ベルリン生活を一層充実させています。

サルサの先生とメンバーたち。ショーの後で。

サルサの先生とメンバーたち。ショーの後で。



 

 

 

東京時代は終日パソコンの前に座っていたことから運動不足となり、以前から興味のあったダンスを習おうと、通いやすい場所、月謝、先生の質の3点を重視して調べたところ、近くにサルサダンススクールを発見。サルサは世界中で踊られていることを知り、「サルサができれば、言葉が不自由な海外でもどこかのコミュニティに入っていけるのではないか?」と考えて教室に通うことに。

 

その考えは的中し、ベルリンでも移住から1年後の2017年にサルサスクールに入学。最初はレッスンのドイツ語はほとんどわからなかったそうですが、日本での経験があるため、すぐに溶け込めたといいます。

「海外に長くいたかったので、なにかのコミュニティに属したかったんです。その手段がサルサだったんですね」

 

ちょうどその頃、先生はサルサパフォーマンスプロジェクトを立ち上げるところでした。丸田さんはその経験と熱意から先生に見出され、プロジェクトメンバーとして抜擢されたのです。ステージやイベントでチームで踊るのですが、1曲のパフォーマンスのために4〜5ヵ月は特訓、披露直前には1回3時間のレッスンを週3~4回行うとか。メンバーはインターナショナルで、メンバー同士でサポートし合うそうです。

 

ダンスプロジェクト発足後、発のステージショー。

ダンスプロジェクト発足後、初のステージショー。



 

仕事も趣味も、充実した生活を送っている丸田さん。東京にいた頃はバランスの取れた生活を送るのが難しかったそうですが、ベルリンではそれができると感じています。

「今の生活は、『ワーク・ダンス・ライフ・バランス』が取れていますね(笑)。すべてを自分で選択していると思えるので、とても自由だと感じます」

 

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『心がラクになる ドイツのシンプル家事』が大和書房より発売になったばかり。散歩、写真、ビールが大好き。

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久保田 由希