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「アイス天国」ドイツのアイス事情とは?【流行編】

「アイス天国」ドイツのアイス事情とは?【流行編】

ドイツはアイスが美味しい国。前回は伝統的なアイスカフェをご紹介しましたが、ドイツにもここ数年で新たな勢力が登場し、アイス界のセカンドウェーブともサードウェーブともいえる現象を巻き起こしています。

今回は【流行編】と題しまして、いま注目のアイスについてお伝えします。

 

美味しくてヘルシー、おまけにフォトジェニックなフローズンヨーグルト

美味しくてヘルシー、おまけにフォトジェニックなフローズンヨーグルト



なかでも一番のブームといえば「フローズンヨーグルト」。フローズンヨーグルト専門店がドイツに初めて登場したのは2011年頃のこと。その後はにょきにょきとすごい勢いで増え続け、気が付けばあっちにもこっちにもフローズンヨーグルトの看板が。現在ではドイツじゅうどこの街でも見かけるようになりましたが、人気は衰えるどころか勢いを増し、有名店には連日長蛇の列ができるほどです。
「流行」というもの自体があまりないドイツで、ひとつの食べ物がこれだけブームになるというのはちょっとした事件。大げさなようですが、歴史に残る出来事と言ってもいいのではないかと思うのです。

大流行中のフローズンヨーグルト。モダンでおしゃれな店内。

大流行中のフローズンヨーグルト。モダンでおしゃれな店内。



一見何の変哲もないフローズンヨーグルトが、なぜにここまでドイツの人々の心と胃袋を鷲づかみにしたのでしょうか?

私なりにその人気の理由を考えてみました。

1.まず第一に、美味しい。
ドイツは乳製品が美味しい国。上質な素材で作られるフローズンヨーグルトですから、そりゃ美味しいに決まっていますよね。
ドイツではソフトクリームがメジャーではないので、フローズンヨーグルトのソフトでなめらかな食感も新鮮だったようです。

2.しかもヘルシー。
甘い物ってカロリーが気になる人が多いと思いますが、フローズンヨーグルトは脂肪分が少なく低カロリー。ふくよかな人がわりと多いドイツでも、昨今はヘルシーブームでダイエットを気にする人が増えているようです。

 

フルーツにチョコ、ナッツ、グミなど40種類も揃うトッピング

フルーツにチョコ、ナッツ、グミなど40種類も揃うトッピング



3.好きなトッピングを選んで自分だけのアイスをつくれるのが楽しい。
トッピングの種類はお店にもよりますが、苺にマンゴー、パイナップルなどのフルーツ、チョコレートにナッツ、オレオクッキーにポップコーン、ハリボ―のグミまで約20~40種類も!仕上げにソース(チョコレート、キャラメル、各種フルーツソースなど)を選べばオリジナルアイスの完成です。

4.見た目が鮮やかで可愛く、いわゆる「インスタ映え」がばっちり。
これが若者にうけている大きな理由のひとつ。現在もSNSを介してどんどん人気が拡散され続けています。

5.以前は夏でも涼しかったドイツですが、ここ数年は猛暑日が増えており、爽やかでさっぱりしたフローズンヨーグルトに食指が動く。

温暖化の影響を受け、気温の上昇とともにフローズンヨーグルト人気も上昇する一方。いったいどこまでいっちゃうのか、その行方を見守りたいと思います。

 

素材や組み合わせにこだわったフレーバーを作るアイスショップが増加中。

素材や組み合わせにこだわったフレーバーを作るアイスショップが増加中。



フローズンヨーグルトのほかに、ドイツのアイス界で大きなウェーブとなっているのが、イタリア伝統系アイスカフェとは一線を画すこだわり系アイス店。
ビオ(オーガニック)や地産素材など自然素材を使ったり、ビーガン用に豆乳を使ったり、異素材を組み合わせたり、と従来のアイスカフェにはない個性的なフレーバーを作るアイス専門店がどんどん増えています。

ビオの素材でアイスを作ってるおしゃれなカフェ

ビオの素材でアイスを作ってるおしゃれなカフェ



こだわり系アイス店は店内もおしゃれでモダンなお店が多く、カフェとして居心地が良いのも人気のポイント。

私が一番好きなフレーバーは甘じょっぱさがたまらない「塩キャラメル」。どこのお店に行ってもさんざん迷った挙句、最終的には塩キャラメルと、もうひとつフルーツ系のジェラートの組み合わせに落ち着いてしまいます。従来のアイスカフェではフルーツのアイスにも(ドイツ人の嗜好に合わせてか)たっぷり生クリームがベースになっていることが多いのですが、こだわりアイス店ではフルーツ系には生クリームは使わず、素材そのものの味をいかしたフレッシュなジェラートが多いのでお気に入り。

ラムとミントのカクテルをイメージした「モヒート」と「リュバーブ&バターミルク」

ラムとミントのカクテルをイメージした「モヒート」と「リュバーブ&バターミルク」



 

「クッキー&クリーム」と果肉たっぷり「マンゴーソルベ」

「クッキー&クリーム」と果肉たっぷり「マンゴーソルベ」



 

最後に、ドイツで偶然発見したとっても興味深いアイスをご紹介。
それは数年前のある日、北ドイツの港町、ロストックの街をお散歩していた時の事でした。

なにやら行列を発見。その先にあったのは『DDR Softeis』!

なにやら行列を発見。その先にあったのは『DDR Softeis』!



何やら行列ができている一角を発見。この先にはきっと美味しいものがあるに違いない!と食いしん坊の鼻のおもむくままに行ってみると……そこにあったのは『DDR SOFT EIS』の文字。

DDRソフトアイス……旧東ドイツ時代のソフトクリーム??いったいどんなアイスなの?!
好奇心を刺激された私は、すぐさま注文しました。

じゃじゃ~ん。これがDDRソフトアイスだ!最中の皮?に入った黒白のソフトクリームが郷愁を誘う

じゃじゃ~ん。これがDDRソフトアイスだ!最中の皮?に入った黒白のソフトクリームが郷愁を誘う



出てきたそれは、最中のような皮にのった白(バニラ)と黒(チョコ)のソフトクリーム状のアイス。オスタルギー(※旧東ドイツへの郷愁、と訳されることが多い造語)を肌感覚で知らない私でも、なんだか懐かしさを感じる1品でした。さっぱりした味となめらかな食感。とくに特徴があるわけでもないのだけれど……とっても気に入ってしまいました!

 

店内もDDR時代のインテリアでまとめられオスタルギーな雰囲気

店内もDDR時代のインテリアでまとめられオスタルギーな雰囲気



どうしてこのアイスがもっと流行らないのか不思議でしょうがない。なぜかロストック限定で人気らしく、市内に何店舗もあるそうなんですよ。ちなみに同店にはフローズンヨーグルトもあって、ベースのアイスを選んでトッピングを楽しむこともできます。このお店が全国にあれば絶対に人気がでると思うんだけどなあ……ソフトクリーム好きとしては、うちの街にも出店してくれることを願ってやみません。

兎にも角にも、多種多様なアイスが食べられる「アイス天国」のドイツ。イタリア系アイスカフェ、フローズンヨーグルト、クリエイティブ系、そしてDDRアイスまで。

みなさんもぜひ、ドイツでいろんなアイスを楽しんでくださいね!

Guten Appetit!

 

 

坪井由美子

日本では「食」に関する仕事に従事。商品開発やリサーチ、テレビ・ラジオへの情報提供及び出演、執筆などに携わる。テレビ東京『テレビチャンピオン・甘味王選手権』で3度優勝するなど食いしん坊ぶりを発揮。2003年よりドイツに拠点を移しフリーライターとして活動。旅や食文化、最新トレンドなどリアルなドイツ事情を新聞、雑誌、ウェブメディアで発信。 総合情報サイト「オールアバウト」ドイツガイド担当 / ドイツ発フリーペーパー「ドイツ・ニュースダイジェスト」で『食いしん坊のための簡単おいしいレシピ ~Locker! & Lecker!~』連載中/2020年秋『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)出版

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坪井由美子