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ドイツのちょっとコミカルな「婚活体験記」

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ドイツのちょっとコミカルな「婚活体験記」

バレンタインデーということで(?)今回はドイツの恋愛にまつわる本をご紹介したいと思います。

ジャーナリストでキャスターのSusanne Fröhlich氏が作家のConstanze Kleisとともに書いたFrau Fröhlich sucht die Liebe...und bleibt nicht lang alleinです。

ドイツの50代の女性の婚活をまとめたものです。「50代婚活体験記」といったところでしょうか。

あ、厳密にいうと、ドイツでは必ずしも結婚しなければいけないという考え方はありませんが、常に恋愛していなければいけない、常にパートナーがいなければいけない、という風潮は確かにありますので、「婚活」というよりも「恋愛活動」というほうがニュアンスは近いかもしれません。

さてこの本はSusanne Fröhlich氏(52歳)自身の体験記であるため、かなりリアルです。そしてさすがジャーナリスト。ドイツの各街で開催されているシングルの人のための出会いを目的としたパーティー(Singleparty)に顔を出すほか、色んな婚活サイトに登録したり、ドイツでは昔からある大手新聞のパートナー募集欄に「パートナー求めます」の広告を打ったりしますが、実は彼女はここでリサーチのため色んな「役」に成りきります。

新聞のパートナー募集欄に、Susanne Fröhlich氏の実年齢である52歳の女性として「パートナー募集中」の広告を打つとともに、同じ号にフェイクである37歳の別の女性としても広告を出し、果ては性別を変えて67歳の男性としても広告を出します。そしてその反響というか誰がどこに食いつくのかの「モテの法則」を実にコミカルに分析しながら、ドイツの恋愛市場の裏側にせまっています。

余談ですが、この本「生きたドイツ語」を学ぶには最適の本です(笑)目次からして面白いので、こちらの写真をご覧ください。

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写真の1番にあるDie Käsethekentheorie は、「チーズ売り場の理論」という章です。内容を少しバラしてしまうと、ネットの世界で人は自分の性格や容姿の難点を隠しながら婚活ができ、かつある種の計算が常に動いているわけです。でもネット以外の「外の世界」では時にサプライズ的な出会いがあります。それがこのDie Käsethekentheorieです。「ある日スーパーのチーズ売り場で順番待ちをしていたら、そこには運命の人が!」というような恋の展開について書かれています。

2番目のLand des Lächelns(和訳「微笑みの国」)に関しては、「日本」という国がドイツでは時にこのような言い方をされているので、日本のことを書いているのかと思いきや・・・日本のことは微塵も書かれておらず、、、「微笑み」とはネットの婚活サイトでお互いに送り合える「スマイル」の事なのでした。婚活サイトはこの手のスマイルであふれているので、「微笑みの国」なのですね。

ニッポンのことはこの本の中では紹介されていませんが、4番のVom Tun und vom Lassen(和訳「婚活でオッケーなこと、タブーなこと」)では「アメリカ」と「中国」の恋愛と結婚事情が紹介されています。要約すると、アメリカには「一回目のデートは週末ではなく平日の夜にバーで会い、夜11時頃にはデートを切り上げ、会計は男性が払う」などといった明確な暗黙の「ルール」があるという話が紹介されています。中国に関しては、自分で結婚相手を見つけられない人に関しては、親同士が公園などのイベントで「我が子の条件」(「男性、1987年生まれ、公務員、マンション持ってます」などの情報)を書いたプラカードを挙げながら親が子に代わって婚活をしている(日本のテレビでも紹介されてましたよね)ように、一定の「情報開示」やある種の「ルール」に基づいてコトを進めています。対して、ドイツでは出会いの際にこのような情報開示は一般的ではなく、デートに関しても明確なルールは存在しないのでした。そのため意図せぬ形で交際をスタートさせてしまい、その交際がまたズルズルと長引く傾向がドイツでは強く、これは時間の無駄なのではないか?と著者は疑問を投げかけています。

ドイツの感覚でいうと「恋愛において、あらかじめ情報や条件を開示してしまうのはロマンチックではない」という理由から、詳細(デートの会計はどちらが払うのか、身体の関係を持つタイミング、相手は賃貸に住んでいるのか持ち家なのか)があやふやのままコトが進んでいることが確かに多いよなあ、なんて思うのでした。

目次の7番のIch bin nicht Carlo Little(和訳「私はCarlo Littleにはなりたくない」)もなかなかコミカルな章です。Carlo Littleとはザ・ローリング・ストーンズが売れる少し前にしびれを切らしてグループを脱退してしまったドラマーです。その後、ローリング・ストーンズは爆発的に売れたわけですから、その前に脱退したCarlo Littleにとっては非常に「惜しい」話ではあります。そう、婚活サイトや新聞広告での婚活に関しても同じで「やめどき」が難しいと著者は書いています。ロクなことがなくて、「やめたい」と思っても、やめた途端に「理想の男性と出会っていたかも」と後悔するのだけは嫌だ!というリアルな葛藤が描かれています。

さて、上に「ロクなことがない」と書きましたが、ローカルテレビの有名人の写真を使用し自分だと偽って婚活する人、愛情たっぷりのメールをコピペして色んな女性に送る人、そして新聞のパートナー募集欄へ「パートナー募集」の広告を出したら、刑務所に入っている囚人から手紙が来たりと、様々な「体験」がこの本には綴られています。

ちなみに表紙の女性はSusanne Fröhlichご本人。コミカルな文章を書く天才です。本を読んで改めて確認させられたのが、ドイツの50代の婚活は日本の50代の婚活と比べて「堂々としている」こと!!日本でたまに見られる「親の恋愛なんて見たくない」とは無縁で、ドイツでは子供がいても堂々と婚活や恋愛活動をしています。

そんなこんなでコミカルでありながら冷静なこの“恋活本”、日本版はないのだけれど、ドイツ語を勉強中の方はドイツ語の勉強にいいかも!?

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン