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"Was haben Sie am Wochenende gemacht?"【異文化誤解あるある】会社編

©Colourbox.de

"Was haben Sie am Wochenende gemacht?"【異文化誤解あるある】会社編

一般的には、ドイツの会社のほうが日本の会社よりも公私の区別が白黒ハッキリしている印象があります。

 

ドイツ人というと仕事は仕事、そしてプライベートはプライベートときっかり分けている・・・というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

 

けど、プライベートと仕事がそんなに切り離して考えられているかというと、意外とそうでもなかったりします@ドイツの会社。

 

たとえば挨拶。

 

はい、週末が明け、月曜の朝出社すれば、同僚や上司に“Guten Morgen. Na, und wie war Ihr Wochenende?“ (「おはようございます。週末はいかがでした?」)とか„Und, was haben Sie am Wochenende gemacht?“(「週末は何してましたか?」)と聞かれるのがドイツ。

 

この挨拶(はい、“Guten Morgen. Na, und wie war Ihr Wochenende?“ (「おはようございます。週末はいかがでした?」)とか„Und, was haben Sie am Wochenende gemacht?“(「週末は何してましたか?」)はいわば挨拶なのでございます)の何が困るかって、疑問形なので、自分が週末をどう過ごしたかを答えなければいけないことです(笑)

 

まあ私などはこのドイツ流の会話スタイルには慣れていますが、日本人の中には、週末のことを上司に聞かれるのが謎、なぜ週末に自分が何をしていたかを答えなければいけないのもまた謎、と感じる人もいるようです。

 

で、よくよく考えると、確かにこれ、答える側としては気を遣う質問だったりするのですね。

 

というのは、ドイツの職場において「週末なにしてました?」に自由に答えて良いかというと、これがそうでもないワケです。

 

まあ自由に答えるのは自由(ダジャレではありません)ですけど、それでは上司に好印象(guter Eindruck)は持ってもらえない可能性が高いです。

 

まず、日本にありがちな「週末は、寝てました~」というのは完全にアウト。寝てました発言はニッポンの会社においては意外にも、プライベートな活動を会社という場でアピールしない、という意味で好印象ですし、何気に「仕事のために&会社のために週末は体力温存してました!」アピールもできるので、日本ではしばしば見られる「無難」な回答だったりするわけですが、これをドイツ人上司の前でやっちゃうと、上司に「つまんねー奴だな」と思われるのがオチ。

 

ちなみに私サンドラは、以前ドイツ語関連の単発の仕事(3週間ぐらい)の際、週末明けにお偉いさんのドイツ人に「週末、何やってた?」と聞かれ、読書していたと答えると、“Was!?Sie haben gelesen? Wo doch SOOOO schönes Wetter war am Wochendende?!“(「なにー!?読書してた?週末、あんなに天気がよかったのに?!?」)と返され、カチンと来たことがあります。仕事で利害関係がある人に言い方が冗談っぽいとはいえ、直球で週末の過ごし方にイチャモンをつけられちゃったわけです。

 

Newly constructed office, perspective of corridor

Newly constructed office, perspective of corridor



ちなみにこの手の質問(“Was haben Sie am Wochenende gemacht?“「週末は何してました?」)に対して「週末は家事をしてました~」というような実用的な答えもアウトだったりします。

 

家事だとか、掃除だとか、読書だとか寝るとかそういう日常のつまらない現実をにおわせるものや「内向的」な活動はドイツ的なセンスだとダメというわけです。それにしても日本流(?)の「静かな活動」があまり歓迎されないのは何とも理不尽ですね。そう考えると、ドイツ人もかなり面倒くさい人たちなのかもしれません(笑)

 

では、模範解答はというと、はい、「活動的な内容のもの」は基本オッケーです。ドイツでは仕事もプライベートもアクティブで活動的であるべきだという考え方が根底にあるので、週末の過ごし方もアクティブであればあるほど、仕事もアクティブにしてくれそう、という印象を持たれやすいです。なので、スノボやスキーネタはもちろん、週末はテニスをしてました、とか、山登りしてました、とか、BBQしてました、というような答えが何気に喜ばれるかもしれません。自分の快活さもアピールできますしね。

 

ドイツ人は内陸コンプレックスがそうさせるのか海が好きな人も多いので、夏であれば、海に行ってました、なんていうのも模範回答でございます。

 

その手の回答(「海に行ってました」)をした後は素敵なビーチ話で盛り上がること間違いないでしょう。

 

基本的に日本の職場では挨拶の際【礼儀】が重んじられるのに対し、ドイツの職場の場合、挨拶は【社交】の要素も強いのでした。そして社交となると、週末の過ごし方を含めどうしてもプライベートの色んな事に話が及んだりしますので、日本人がドイツの会社というものに対して持っているイメージに反するようですが、「ドイツの会社は公私を白黒ハッキリ分ける!」とは必ずしも言えないかもしれません。ま、ノミュニケーション(古くてすみません)はないですけどね。

 

 

 

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン