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公園を散歩してみよう 2時間かけても周りきれない都市型公園「ヴェストファーレンパーク」

湖や池などの水辺はヴェストファーレンパーク内にたくさん。水面に映る“逆さ紅葉”が美しく、多くの人が立ち止まっていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

公園を散歩してみよう 2時間かけても周りきれない都市型公園「ヴェストファーレンパーク」

連載「アクティブ ドイツ!」<15>

ことしの日本の秋は台風襲来が多めでしょうか? 秋晴れに恵まれているでしょうか? ドイツの秋は11月になると日照時間は減り、さらに悪天候というイメージですが、秋晴れに恵まれた日はキラキラと美しい自然を堪能できます。ドルトムント市内の南に位置するヴェストファーレンパーク(Westfalenpark)へ10月、「シュパツィーレン ゲーエン」――散歩に出かけてきました。

|広大な芝のカーペット


都市型公園として欧州最大規模のヴェストファーレンパークは、今回ゆっくり歩いたり立ち止まったりしながら2時間たっぷり使っても、まだ全てのエリアを網羅できないほどの大きさ。芝地だけで60ヘクタール(東京ドーム13個弱)分もあり、メインストリートや小道以外に芝の上を歩くことができるためルートは無限大です。季節ごとに見頃の花や木々の色が変わるため、わたしの夫は「何度来てもこの公園をわかった気がしない」と話していました。

ヴェストファーレンパークは芝地だけで60ヘクタール! 広大な園内の散歩ルートは無限大 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ヴェストファーレンパークは芝地だけで60ヘクタール! 広大な園内の散歩ルートは無限大 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



余談ですが、ことしの夏にわたしがはまったバーデザルツ(塩の入浴剤)があります。「クナイプ」(Kneipp)製の、その名も「Barfuß im Gras」。封を切ったとたんに香るフレッシュな青臭さは、バスタブのわたしを、名前のとおり一面芝が広がる中に裸足で立ちつくす開放的な空間へ連れて行ってくれました。



ヴェストファーレンパークの広大な芝地は、そんなイメージがぴったり。夏には音楽フェス「ジューシービーツ」(Juicy Beats)や、花火とイルミネーションに彩られる光の祭典「リヒターフェスト」(Lichterfeste)が開催され、芝のカーペットでくつろぐ大勢の来場者は風物詩でもあります。秋のヴェストファーレンパークでは、傾く太陽の光が、大木から芝に落ちた色とりどりの葉を照らし出していました。

大木から芝に落ちた色とりどりの葉。陽の光を含めて秋の色だ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

大木から芝に落ちた色とりどりの葉。陽の光を含めて秋の色だ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



|楽しみ方は自由自在


ヴェストファーレンパークは歩き方が無限大なばかりでなく、楽しみ方も自由自在。幼児向けの遊具が揃った公園やアスレッチックパークなど子供連れで賑わうエリア、ビアレストランやカフェといった11の飲食サービス、ロザリウムをはじめとするテーマ別ガーデンなど、よりどりみどりです。ちなみになかなかいい音で踊れるクラブも園内にありますよ。

ビアレストランやカフェといった11の飲食サービスを訪れるのも楽しみのひとつ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ビアレストランやカフェといった11の飲食サービスを訪れるのも楽しみのひとつ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



歩くのが疲れた、違った視点で楽しみたいという場合は、園内の中心を貫くように設置されたロープウェイに乗ってみる手もあります。高さ3mちょっとのロープウェイは時にメインストリートを歩く人たちの上を通っていきます。見ていると結構なスピードが出ているので、寒い日は暖かくして乗るとよさそう…というか、ゆっくり鑑賞する目的では乗れなそう(笑) さらに園内を周遊する列車もあり、こちらは2駅あるので「半分列車で半分歩き」という使い方もできそうです。



ロザリウムの最盛期は終わり。ススキとコラボレーションしたレイアウトがユニークだ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ロザリウムの最盛期は終わり。ススキとコラボレーションしたレイアウトがユニークだ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



ヴェストファーレンパークが発展してきた経緯が1959年、1969年、1991年に催された「ガーデンショー」(Bundesgartenschau)とあって、テーマ別ガーデンは見ごたえがあります。およそ3000種類のバラを誇るロザリウムは残念ながらシーズンが終わりかけていましたが、日本ではあまり見ることがないユニークなレイアウトとしてススキとのコラボレーションを見ることができました。

代わりに花盛りだったのは、ダリア。色鮮やかで大輪のダリアに多くの人を惹きつけていたばかりか、虫たちも花から花へと忙しそうに飛び回っていましたよ。


大輪のダリアが花盛り。多くの人を惹きつけていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

大輪のダリアが花盛り。多くの人を惹きつけていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA





ダリア園の背景には、ドルトムントで栄えた鉄鋼業の名残の建物群がシルエットに浮かんでいた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ダリア園の背景には、ドルトムントで栄えた鉄鋼業の名残の建物群がシルエットに浮かんでいた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



ヴェストファーレンパークのダリア園と園内に建つ「フローリアンタワー」 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ヴェストファーレンパークのダリア園と園内に建つ「フローリアンタワー」 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



日本で見慣れた植物にも出会うことができます。色づき始めたもみじは日本人の心をなごませてくれますし、今回は訪れませんでしたが、東アジアをテーマにしたガーデンでは日本庭園のような風景を見ることができるといいます。

またドルトムントのシンボルのひとつ、高さ219.6mのテレビ塔「フローリアンタワー」(Florianturm)が建つのはヴェストファーレンパーク。約142mの高さには展望台が、約137.5mの高さにはフロアが全方向にゆっくりと一周するレストランが備わり、ドルトムントの風景を楽しめるエンターテイメントを提供しています(現在は2017年末までの予定で閉鎖中)。


老若男女が楽しむヴェストファーレンパーク。色づき始めたもみじが美しく輝いていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

老若男女が楽しむヴェストファーレンパーク。色づき始めたもみじが美しく輝いていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



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シュルテ柄沢 亜希

Aki SCHULTE-KARASAWA ● 1982年生まれ、ドイツ・ドルトムント在住。フリージャーナリスト。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。好きなものは、ビール、チーズ、タマゴ――ワイン、日本酒、ウイスキーも大好き。ランニング、ロードバイクライドにてカロリーを相殺する日々。ブログ「ドイツのにほんじん」に日記をつけ、産経デジタル「Cyclist」、三栄書房「GO OUT」などで執筆中。

シュルテ柄沢 亜希