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ドイツワインコラム第3回「泡(ゼクト)」

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ドイツワインコラム第3回「泡(ゼクト)」

1980年代後半から1990年代前半の日本、泡沫の夢の中にいることなど誰も気付かず、贅沢な宴が毎晩どこかで催されていました。この時代高級ブランドの衣服やアクセサリーと並んで象徴的だったのが、パーティーなどで供される高級なワインやスパークリングワインであったと思います。

後にバブルと名付けられたこの時代、皮肉にも巷では“泡”と呼ばれ女性を中心に人気のあったスパークリングワイン。「バブル時代に泡って!」と後に多くの方がノリツッコミするとは夢にも想わず愉しまれていたこのお酒、特にシャンパーニュ産の高級なものが有名な為、俗にシャンパン、ドイツではゼクトと呼ばれています。

以前にも書いたようにドイツはビールのレベルが非常に高く有名で、もちろん人気もあります。

ただ意外に思われるかもしれませんがドイツはスパークリングワインの消費量が年間四億本以上と世界最大の市場です。

ドイツ国内で生産されるゼクトの種類も様々で、大手メーカーの大体的な宣伝などによるマーケティング戦略で大量に販売される安価なものから、小規模ながら高品質のゼクトを造る醸造所もあり、ワイン同様様々な選択肢があります。

私も昔ラインガウのとあるゼクト醸造所で修業していました。こちらはシャンパーニュ地方と同じ、伝統的な瓶内二次発酵の製法により高品質のゼクトを生産しており、多くの有名なワイナリーから委託されて造ったりもしています。

当時、毎朝醸造所に行くとまずまっすぐに地下に降り、ゼクトの瓶を少し回すという作業をしていました。

「何その作業?」と思われるかもしれません。でも実際に瓶を少し回す作業なのです。

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ね、ちょっとわかりにくいかもしれないですが回してるでしょ?

この作業はドイツ語でRütteln(リュッテルン)フランス語でRemuage(ルミアージュ)と呼ばれ、Rüttelplut(リュッテルプルト)と呼ばれる穴の開いた板に瓶をさかさまにして差し、毎日少しずつ瓶を回しながら角度を上げていき瓶の口までゆっくり酵母の澱を下ろしていきます。この手間暇をかけた作業により瓶内に澱が付着せず、きれいに取り除くことができます。

澱引きが行われるまで、この伝統的瓶内二次発酵ではゼクトとなるワインは酵母と共に最低9カ月寝かされなければなりません。これにより澱となった酵母から旨味、風味がゆっくりとワインの中へ溶け込んでゆきます。(伝統的瓶内二次発酵以外ゼクトには様々な製法がありますが、そちらについてはまた別の機会に。)

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ワインの種類別に板が分けられています。

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最終的にこのように瓶の口に酵母が集まります。

この後、凍結液の満たされた特殊な機械に酵母のたまった口部分のみが浸され、

凍らされた酵母は、抜栓され炭酸ガスの圧力で一気に噴出される形で取り除かれます。

抜栓するためこの時点まで瓶は王冠で封印されています。

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この機械の下部の緑色のところに凍結液が満たされており、ぐるっと一周回る間に酵母は凍らされてしまいます。

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その後こちらの機械で抜栓され、加糖されたワインを加える。この作業により最終的なゼクトの甘辛を調整する。

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完成。この後出荷までワイン毎に様々な期間熟成されます。

ざっくりとではありますが今回はゼクトの製法をご紹介させていただきました。

これから暑い夏、キンキンに冷やしたゼクトを本当においしくいただける季節となります。

そして「またか!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、私が修行していたこちらのゾルター醸造所のゼクトは当方のショップサイト、ディ・エアーデ www.dieerde.net でご購入いただけます。

 

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♢  →ドイツワインコラム第2回「ドイツを除いては・・・」

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著者プロフィール
高瀬亮

双子座 AB型
1998`-2014`在独

ローテンブルグ、ハイデルベルグ、リューデスハイム、マインツに居住。
ドイツにてワイン醸造の国家資格取得。4つのワイン産地5つのワイナリーで修業。
現在神戸にてドイツワイン輸入販売を営みドイツワイン専門ショップであるディ・エアーデのウェブサイトにて販売を行う。
随時神戸北野のサロン及び出張でのワイン会を行い、ドイツワインを紹介している。
www.dieerde.net

 

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