YOUNG GERMANY ドイツ発 ライフスタイル・ガイド

九州 第二部

© Hans Carl von Werthern

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九州 第二部

友人達に別れを告げ、小型のレンタカーはそのまま使うことにし、私たち夫婦のみで旅を続けることになりました。まずは、九州の北東部からスタートすることにし、由布岳の二つの山頂が見事に展望できる湯布院の小さな旅館に宿泊しました。

今回の九州周遊は、旅館から旅館への旅でもありました。伝統的な日本の宿は、本当にくつろげます。多くの旅館には内湯と露天風呂が男女用に2つずつあります。ミネラル成分豊富な熱い温泉に夕食前に入ります。小さな貸切風呂が備えられている場合は、家族やカップルだけで入ることもできますが、いずれにしても温泉に入る時には厳しいマナーを守らなければなりません。すなわち、水着は着用せず、会話は最小限に抑え、水をはねさせたりせず、何よりお湯に入る前にシャンプーや石鹸を使い、体を隅々までしっかりと洗うことです。低い風呂椅子に腰掛け、頭のてっぺんからつま先まで何度も石鹸を塗ります。「もうこれ以上きれいになりようがない」と思って横を見ると、隣の人はまだゴシゴシと念入りに体を洗っています。多くの人が同じお湯につかるので、日本で特に重視されている健康や衛生の面からも、完璧な清潔さが求められます。ただ、思っていたほど全ての日本人が清潔さを厳しく守っているわけではなさそうでした。事前にしっかりシャワーを浴びてきたことを祈りましょう。

温泉からあがると、木綿でできた軽い着物「浴衣」に着替えます。こんなところにも外国人が陥りやすい落とし穴があります。浴衣を着るときは、左の衿を上にしなければならないのです。右衿を上にするのは、葬儀で亡くなった人に着せるときなので、間違えた場合はすぐに直すように注意されます。

さてそれから、浴衣姿で夕飯を食べに行き(冬の間は、裏地のついた綿の茶羽織を羽織ることもあります)、部屋に戻り、いつのまにか畳の上に敷かれていた布団に入って寝ます。翌朝は再びお風呂に入り、朝食を食べます。―これ以上快適で、くつろげることなどあるでしょうか?

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朝食後は、多くのお店、カフェ、レストラン、そしてもちろん至る所に旅館のある由布院を散策しました。1.5キロ程の中心街を抜けると、金鱗湖にたどり着きます。湖には温泉水が流れ込み、湯気が立ち上るとても幻想的な光景が見られます。

日本で最も湯量が多い温泉町は、別府です。どこを見ても湯気がもくもくと立ち上り、温泉水や湯気が料理に使われることもあります。あまりにも熱いので「地獄」と呼ばれる温泉があるほどです。つかるのは無理ですが、眺めは圧巻です。別府地獄にはお金を払って入場します。その観光地化ぶりに「九州のラスベガス」と呼ぶ人もいます。別府地獄には、深い青、赤、乳白色など様々な色のお湯があり、泥が煮立っているところや、ワニが飼育されているところまであります。ワニはきちんと管理されているようですが、大きな地震で逃げ出した場合にどうなるか、想像したくはありません。

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杵築は、守江湾に面した小さな町で、1394年築の城を再建したお城や、保存が行き届いた武家屋敷があります。また、二つの高台を結ぶ坂道がありますが、ここは時代劇などの撮影場所に良く使われたこともあり、日本ではとても有名だそうです。うまい具合に角度とタイミングが合うと、車を写さないで写真を撮ることができます。

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その日の宿泊地は、曲がりくねった路地に多くの旅館が立ち並ぶ、情緒あふれる黒川温泉郷にしました。予約していた宿は、何度か迷った挙句にやっと見つけました。

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温泉街のあちこちには、卵の入った籠が温泉の中にぶら下がっていました。そばにある小さな木箱に小銭を入れ、ゆで卵を取り出します。卵には、温泉に含まれるミネラル成分によってほんのりと塩味がついていました。

黒川には、コンクリートのビルや広告があまりなく、幸い昔ながらの懐かしい雰囲気が保たれています。夏の間は入湯手形という小さな木の札を購入し、それを首から下げて浴衣に下駄姿で湯めぐりができますが、2月はまだ寒すぎました。

黒川から巨大な噴火口を誇る阿蘇山まではそれほど離れていませんが、途中、高千穂までドライブし、雄大な高千穂峡を歩いてきました。

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この時の体験などについてはまた次回報告いたします。

 

Hans Carl von Werthern

1953年8月4日 ドイツ・ビューデスハイム生まれ。既婚、娘3人。 1984年にドイツ外務省に入省。 以来「日本におけるドイツ年2005/2006」外務省準備室長をはじめ、外務省東アジア課長、在中国大使館公使、外務省中央局(第一局)長などを歴任。 2014年3月から、駐日ドイツ連邦共和国大使として東京に赴任。

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