第二の故郷ドイツでテキスタイルデザインを 藤井千晶さん – Young Germany Japan

Blog: ドイツで羽ばたく日本人
第二の故郷ドイツでテキスタイルデザインを 藤井千晶さん

日独で活躍するテキスタイルデザイナー、藤井千晶さん
日独で活躍するテキスタイルデザイナー、藤井千晶さん

ベルリンにある日本のセレクト文具店「ソワレ」で開かれていたテキスタイルの個展にお邪魔しました。いつもの店内の白い壁は、上から下までカラフルな色で埋まっていました。
テキスタイルデザインのもとになるという原画で、どれもテキスタイルデザイナー・藤井千晶さんの作品です。

1枚1枚の絵を見ていると、そこから物語が始まりそうな気がしました。リンゴやキャンドルがいくつも並ぶような大胆な絵柄と、明るくてきれいな色。その大きな存在感に、多くの来場者たちが見入っていました。

さらに奥の小部屋に進むと、テキスタイルによる小さな森が登場。いつもの文具店がまったく別の世界になっていることに驚き、テキスタイルの威力を実感しました。

テキスタイルデザインのもとになる原画

テキスタイルデザインのもとになる原画

奥の部屋には、テキスタイルの小さな森

奥の部屋には、テキスタイルの小さな森

■デザインの力を再確認する
藤井さんは女子美術大学短期大学部のテキスタイル科を卒業した後に、エスモード・ジャポン留学科に入学し、パリでファッションデザインとパターンを学びました。

パリ校卒業後は再び日本に帰国して、アパレル会社のアシスタントデザイナーを経てフィンランドのファブリックブランドであるマリメッコのショップスタッフとして勤務する傍ら、自らのテキスタイルも創り続けてきました。

「お越しくださったお客様が喜んで帰って行かれる姿をみて、デザインの力はすごいなと思ったんです。
毎日素敵なデザインに囲まれ、私も元気をもらっていました」
と話す藤井さん。

お店を辞めることは頭になかったそうですが、テキスタイルデザインの方向に行きたい、という気持ちも常に抱いていました。

そんな中で東日本大震災が起き、自分を見つめ直す瞬間がふとあったそうです。そのほかのタイミングも重なり、海外移住を考え「テキスタイルデザインをやっていく」と決意したのでした。

個展ではバッグやクッションカバーが販売されました

個展ではバッグやクッションカバーが販売されました

■幼少時を過ごしたドイツは第二の故郷
海外移住を考えはじめたとき、候補となったのは留学経験のあるパリかドイツ。ドイツなら、お姉さん家族が住んでいるベルリンでした。

じつはドイツは、藤井さんの第二の故郷ともいえる国。小学校3年生から中学2年生まで、デュッセルドルフとフランクフルトで過ごしていたのです。

「家の近所に森があって、リスやウサギを見つけて興奮していました。家族で過ごしたドイツでの日々がとても楽しかったんです。ドイツにいると心が落ち着くんです」

私も小学校6年生の1年間を旧西ドイツで過ごしました。やはり家の近くに森があり、そこを通りぬけるときの静謐な時間や、積もった落ち葉を踏みしめて歩く柔らかな感触などを覚えています。
都市と自然が近いドイツの環境は、ものづくりに従事する人には最高ではないかと思います。

「子ども時代に日本を外から見る機会に恵まれ、違う文化を知ることで、自分が日本人であることをより意識するようになりました。いろんな人と出会うことで、人と違うことや個性をより大切に思えるようになりました。」

藤井さんも私も、幼少時の体験があるからこそ、いまドイツに住んでいるのだと思います。
そして藤井さんは2013年9月からベルリンを拠点にヨーロッパで活動しはじめました。

森のお茶会に招かれたよう。ウサギが描かれたフライヤーは1枚1枚すべて手描き

森のお茶会に招かれたよう。ウサギが描かれたフライヤーは1枚1枚すべて手描き

静かな森にいるかのようなデザイン

静かな森にいるかのようなデザイン

■ハッピーは伝わる
子どもの頃からぬり絵や絵を描く事が好きだったという藤井さん。
その気持はいまも同じ。スケッチブックを常に持ち歩き、楽しかったこと、頭に浮かんだことをスケッチし、絵を描いているそうです。

個展では、壁一面に明るい色で描かれた原画が並んでいました。それを見るとパッと心が明るくなって、元気が湧いてきます。きっとほかにも同じような人が多かったのでしょう、この原画は商品ではなかったにもかかわらず、買いたいという人が何人もいたそうです。

「描いているときは自分もとても楽しいんです。私が絵を描いているときのハッピーな気持ちを、作品を通して感じてもらえたら嬉しいです」

今後は病院や学校、老人ホームなどに作品を飾ってもらうように活動していきたいそうです。
確かにそうした場所の内装は無機質になりがちです。藤井さんのテキスタイルがあれば、みんな元気をもらえそうです。

実際にベルリンの幼稚園に作品が置かれていたこともあり、両親たちからもとても好評だったとか。明るいきれいな色は、何かの形で子どもたちにも影響を与えていると思います。

現在藤井さんは日本とドイツを行き来する生活を送っています。日本ではプリントの作業、展示会を行い、ドイツではデザインやワークショップを開催しています。

「何世代にも渡って愛着を持って受け継いでもらえるような、手のぬくもりを感じてもらえる仕事をしていきたいです。誰かの記憶に残るような作品を作りたいですね」

藤井千晶さん
http://chiakifujii.tumblr.com/

文・写真/ベルリン在住ライター 久保田由希
2002年よりベルリン在住。ドイツ・ベルリンのライフスタイル分野に関する著書多数。主な著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『ベルリンのカフェスタイル』(河出書房新社)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)など。新刊に『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)。
http://www.kubomaga.com/

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