F1サーキット「ホッケンハイムリンク」でADACの安全運転教習を体験 – Young Germany Japan

Blog: アクティブ ドイツ!
F1サーキット「ホッケンハイムリンク」でADACの安全運転教習を体験

ホッケンハイムでADACの安全運転教習を体験。噴水の壁を避けながらドライブする体験もあった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ホッケンハイムでADACの安全運転教習を体験。噴水の壁を避けながらドライブする体験もあった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

連載「アクティブ ドイツ!」<3>

9月の上旬、フランクフルトの南に位置するサーキット「ホッケンハイムリンク」へ行ってきました。ホッケンハイムは、モータースポーツの頂点、F1世界選手権の「ドイツグランプリ」が開催されるサーキットです。コース長は4,574mで、日本・静岡の「富士スピードウェイ」(4,400m)とほぼ同じ距離です。そのサーキットの内側には、ドイツ自動車連盟「ADAC」が運営する安全運転教習(Fahrsicherheits-Training)場があります。日本代表として(?)わたしも体験してきました。(2016年10月30日)

|サーキットで訪れた教習のチャンス

この日わたしがホッケンハイムを訪れたのは、フェラーリファンのアマチュアドライバーたちがサーキットを駆け抜ける「フェラーリ・チャレンジ」を観戦するため――のはずでした。スポンサー名を散りばめたカラフルな車体やF1レースの轟音、セレブな来場者たちに目を輝かせていると、「運転体験してみない?」とチャンスが降ってきました。

全長4,574mのホッケンハイムリンク最終コーナー手前席からの眺め Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

全長4,574mのホッケンハイムリンク最終コーナー手前席からの眺め Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

てっきりスポーツカーの試乗かと思ってお断りしようとしたところ、安全運転のスキルを磨く教習とのこと。こういった安全運転教習ができるADACの施設は、ドイツ全国に49カ所あるそうです。…そうはいっても運転教習の経験なんてわたしが学生時代に運転免許を取得した時以来、もう15年も昔の話です。日常的に運転はこなしますが「縦列駐車は苦手なんだけどなぁ…」と緊張していると、どうやらそういった初心者教習とは違う様子。興味津々の教習が始まりました。

 

|スマホ操作×運転の危険を学ぶ体験

運転中のスマホ操作は、絶対にダメ。注意力散漫がいかに危険かを体験した Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

運転中のスマホ操作は、絶対にダメ。注意力散漫がいかに危険かを体験した Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

先生ひとりに対して、クルマ6台(ドライバー10人)。各クルマにトランシーバーを持込んで列を作って待機し、先生の指示どおりに運転をしていきます。最初に向かったコースは、スラローム。カラーコーン横をジグザグと運転していきました。2本めは、「できるだけハンドルを動かさず、カラーコーンに寄り添うようにしてみましょう」と先生のアドバイスを耳に、再チャレンジ。助手席で自分の出番を待機していると、先生のアドバイスどおりに運転をした際には、クルマ酔いが軽減されることに気が付きました。優しい運転って、上手な運転でもあるんだなと実感しました。

スラロームでは、さらに速度を上げてサクサクとこなしたりとバラエティー豊かに次々とチャレンジしていきました。そしてラストは、「みなさんスマホを取り出して、テキストをタイプしながら運転してみてください」。その目的は、運転中のスマホ操作でいかに運転がおぼつかなく危険になるかを知るため。なるほど、教習所ならではの体験ですね。

実際にタイプしてみると、これがまったく意味不明の文になりました。先生からのコマンドは、「自分の名前、いま何をしているか、どこにいるかなどを書いてみましょう」とのことでしたが、わたしが書けたのは、「あきからさやです(柄沢亜希です) うんてんして(いま運転しています) むりーーーー(無理〜!) ひっけんはいむにいまふ!(ホッケンハイムにいます!)」と散々でした。カラーコーンは見事に倒しまくっていました。運転中のスマホ操作は、絶対にやめましょう。


 

|5時間みっちり教習をした証明書

スピード走行時に急ブレーキをするという体験もしました。時速50km、70km、90kmから力の限りを出してブレーキを踏み込むという内容でした。クルマがコントロールできない状況では、何よりもまず減速が第一。「躊躇せず踏み込むように」という指示でした。時速70km以上からの急ブレーキ時には、ブレーキランプとハザードランプが点滅して後続車へ危険を知らせるという機能も初めて知りました。

何よりも貴重な体験だったのは、ウェットコンディションでのドライブでした。噴水装置による水の壁がどこに出没するかわからない状況で前進し、現れた壁をできるだけ回避、そののちに軌道を戻すという体験や、濡れた鉄板で後輪を取られた際に軌道を戻す体験などヒヤヒヤの連続。でもどうやらわたし、危機時の運転には強いようでうまく元の軌道に乗ってドライブをこなすことができました。減速の難しさとともに、冷静さを保ち落ち着いて正しい方向へハンドルをさばく大切さを学びましたよ。

教習を終えて時計を見てみると、みっちり5時間が経過していました。小手先のテクニックだけでなく、危険と安全を体験として習うために使った時間です。体験者には、教習を完了した証明書が名前・日付入で発行されます。ただの記念と思うなかれ、この証明書を提示すればクルマの保険が20〜30%ほど値引きされるそうです。しっかりした教習だと認められているということですね。

ホッケンハイムリンクの内側にあるADACの広大な教習所。5時間の教習完了後には証明書をもらえた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ホッケンハイムリンクの内側にあるADACの広大な教習所。5時間の教習完了後には証明書をもらえた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

AS_prof_2016-07c シュルテ柄沢 亜希 ● Aki SCHULTE-KARASAWA
1982年生まれ、ドイツ・ドルトムント在住。フリージャーナリスト。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。好きなものは、ビール、チーズ、タマゴ――ワイン、日本酒、ウイスキーも大好き。ランニング、ロードバイクライドにてカロリーを相殺する日々。ブログ「ドイツのにほんじん」に日記をつけ、産経デジタル「Cyclist」で記事をときどき発信中。

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