YOUNG GERMANY ドイツ発 ライフスタイル・ガイド

日本発・食の不均衡解消プログラムをドイツで広めたい 小林智子さん

TFTをドイツで広める小林智子さん

TFTをドイツで広める小林智子さん

日本発・食の不均衡解消プログラムをドイツで広めたい 小林智子さん

先進国では飽食が元で生活習慣病にかかる人がいる一方で、世界のどこかでは食べ物に困り、飢餓や栄養失調で苦しんでいる人々がいる。

もっと世界全体でバランスが取れればいいのに……と思ったことはありませんか。

そんなジレンマを解消すべく活動している社会貢献運動が、「TABLE FOR TWO」(テーブル・フォー・ツー)です。

この運動は日本が発祥。それを現在ドイツにも広めようと精力的に活動しているのがミュンヘンに住む小林智子さんです。






今まさにドイツでの展開を始めたばかりという小林さんに、「TABLE FOR TWO」(以下TFTと表記)の取り組み、ドイツでの活動についてお話をうかがいました。




■ヘルシーな食事を食べて途上国を支援

TFTは「二人の食卓」という意味。「時間と空間を越え、食事を分かち合う」というコンセプトから名付けられました。2007年に日本で始まり、2010年からはアメリカでもNPOとして活動を展開しています。

具体的には、この運動に参加している先進国の社員食堂やレストランなどがTFT対象のヘルシーな食事を提供。それを社員やお客さんが食べることで、1食につき20円がTFTを通じて開発途上国に寄付され、子どもたちの学校給食に使われるという仕組みです。

先進国に住む私たちは、栄養バランスが取れた適正カロリーのヘルシーメニューを食べて健康を維持しながら、同時に途上国の子どもたちの食事を支えることができます。

TFTの対象となる商品には、社員食堂やレストランのヘルシーメニューのほかに、スーパーのお総菜や自動販売機の飲料などにも広がっています。現在世界中で700以上の企業がこの運動に参加しているそうです。
2008年から日本でメタボ健診が義務化され、企業が社員の健康管理に気を配るようになったのも、TFTの運動の追い風になったそうです。

活動内容を紹介するドイツ語版資料を作成

活動内容を紹介するドイツ語版資料を作成




■TFT活動をドイツで続けたいと、基盤作りからスタート

小林さんは、もともと日本にいるときからTFTの活動に従事していましたが、前職(コンサルティング会社)でフランクフルトに一時在住したことがあり、現在は物理研究者の夫とミュンヘンに住んでいます。
日本で続けて来たTFTをドイツでも広めたいと、ゼロからスタートして基盤作りに東奔西走する毎日です。

「ドイツの社員食堂は1兆円規模で、これは日本とほぼ同じなんです。毎日1800万人が社食・学食で食べていると推測され、ヨーロッパのほかの国よりも多いんです」
と小林さんは説明します。

ドイツでは社食・学食がそれほど浸透しているイメージがなかったので、意外に思いました。思いがけないところで日本と類似点があるものです。

しかもCSR(社会に対する企業の責任と活動)の面においても、ドイツと日本は似ているのだそうです。TFTがスタートした直後の日本では、大企業は環境保護から一歩進んだCSRの取り組みを求められていた頃でした。
ドイツでも同様に、環境からもっと広い分野へと踏み出していく流れがあるそうです。



■3本柱でドイツにアプローチ

ドイツでのTFTは、小林さんがスタートを切ったところ。目下、3つの柱を中心に進行させています。

1つめはドイツに企業にパイロットプログラムを取り入れてもらうための働きかけ。TFTのドイツ語資料を作成し、まずは日本企業のドイツ支社や、ドイツ企業の日本支社で実績がある会社からアプローチしています。

2つめはチーム作り。小林さん一人では活動に限界があります。そこで立ち上げメンバーを募っているところで、週に数日活動できるフリーランサーや大学生たちが集まってきているそうです。

3つめはスポンサー探し。TFTはNPO法人のためプログラム参加企業からの寄付のうち20%を上限として活動費用に充てていますが、スタートから数年間はそれでは運営不可能です。そこでスポンサーが必要になります。

「TFTは日本で実績があるのが強みです。これから数ヵ月で活動を本格化させていきます」

TFTメンバーと共に

TFTメンバーと共に





■今ならおにぎりの写真投稿で簡単に寄付が可能

この記事を読んで、TFTに参加したいと思われる方もいらっしゃることでしょう。

日本でいちばん簡単な方法は、TFTに参加している食堂やお店で対象メニューを食べたり、ドリンクを購入すること。参加店はHPで確認できます。通販で対象商品を購入することも寄付につながります。
ドイツからなら、レシピサイトに投稿することで寄付ができます。

さらに10月11日から11月30日までは、10月16日の世界食料デーに合わせた「おにぎりアクション2016」キャンペーンを行っています。
これはおにぎりや、おにぎりを食べている様子の写真をキャンペーンサイト(http://jp.tablefor2.org/campaign/onigiri/)またはハッシュタグを付けてSNSに投稿することで、写真1枚につき100円が協賛企業から寄付され、アジア・アフリカの給食になるそうです。

写真投稿だけで寄付できる「おにぎりアクション2016」ホームページ

写真投稿だけで寄付できる「おにぎりアクション2016」ホームページ





TFTのドイツでの実績は、これから作られていくところです。
日本との共通点も考えると、今後の展開は早いかもしれません。

TFT HP:http://jp.tablefor2.org/
TFTドイツ語Facebookページ:
https://www.facebook.com/tft.germany/




文・写真(上2点)/ベルリン在住ライター 久保田由希
2002年よりベルリン在住。ドイツ・ベルリンのライフスタイル分野に関する著書多数。主な著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『ベルリンのカフェスタイル』(河出書房新社)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)など。新刊『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』がマイナビ出版より発売になったばかり。
http://www.kubomaga.com/

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにも関わらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)など多数。近著に、ベルリンのかわいいスポットを紹介した『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)。散歩、写真、ビールが大好き。

Blog : http://www.kubomaga.com

久保田 由希