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環境保護は身近なところから。食品「ゴミ」、美味しく頂きました!

毎秒、約313kg。
これはドイツ国内で廃棄されている食料品の量です。(WWF調べ)
前日の売れ残りのパンや、黒くなったバナナ、賞味期限が数日過ぎてしまった調味料……
工夫すれば、まだまだ美味しく食べられるはずのものや使えるものでも、まあいいか、とゴミ箱に捨ててしまう。
大量の食品ゴミは、何でも簡単に手に入る“豊かな”暮らしの代償かもしれません。

 

 

 

ベルリンでは食品ゴミを減らすために、様々なフード救済プロジェクトが誕生しています。
その1つが7月にオープンした「レストロス・グリュックリッヒ」
大手オーガニックスーパーチェーンから、週に2回、廃棄処分されるはずの食材を引き取って料理し、美味しく楽しんでもらおう!というコンセプトのレストランなのです。

fullsizerender_3このレストラン、実はスタッフのほとんどがボランティア。
「この店の現場を体験すれば、廃棄処分されるはずの「ゴミ」が可能性を秘めた美味しい食べ物なんだって、実感できるでしょ?意識が変われば、自宅でもゴミを減らそうって考えてもらえるし。輪が広がって行くんだ」とコックのダニエルさんはにっこり。

 

「よーし、私も実感したい!」というわけで
私もボランティアスタッフに名乗りを上げ、厨房で働かせて頂いてきました!

事前に食品衛生許可証を取得し、14時からのシフトに入ります。
かわいいピンクのエプロンを貸してもらい、まずは厨房のスタッフに自己紹介。
陽気なコックのダニエルさんとデニスさん、そして同じくボランティアのニコールさん。
ニコールさんは、アメリカ出身。イタリアでスローフードの勉強をし、夏休みのためベルリンに来てここのコンセプトが気に入り、いまでは週2~3回ボランティアとして働いているそうです。

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ダニエルさんやデニスさんにお手本を見せてもらいながら、まずはニンジンやパースニップをスティック状に切っていきます。「少し柔らかくなってるけど、加熱したら歯ごたえも出て美味しくなるよ。後で皆で試食しよう」
古くなったサラダ菜の茶色い部分を取って、水洗い。中はまだみずみずしくて美味しそう。ちょっと固くなったパンをザクザクとスライスして、オリーブオイルをかけてオーブンへ。
サイコロ状に切って卵やチーズ、トマトと混ぜてマフィン型に入れて焼いたら、「古いパンのマフィン」が完成!
「固くなったパンは、団子にして茹でて食べるのがポピュラーだけど、これも良いでしょ?簡単だよ」とダニエルさんは、焼きたて熱々を分けてくれました。
外側はカリッ、中はふわふわで美味しい~!
私やニコールさんがモタモタしていても色んなものを試食させてくれたり、見せてくれます。「この店では、完璧な料理を出すことじゃなくて、スタッフにもお客にも、知ってもらうことが大事だからね!」
fullsizerender_518時のオープンに向けて、めまぐるしく働くダニエルさんとデニスさん。

ディップを準備しながら、デザートのチョコレートタルトを作り始めます。
ここで大量に使われているチョコレートの賞味期限は来年の1月。なんでゴミ、なんでしょうか?実はこれ、イースター用のチョコなんです。まだ食べられるのに、来年のイースターには売れないということで廃棄されてしまう。
理不尽な話です……。

 

 

 

……そして18時、シフト終了!

ボランティアスタッフには、ドリンクと食事が支給されます。
古いパンのマフィンを添えたサラダ、パンチップスとディップ、どれも美味しい!
コーヒーはベルリンの焙煎所の真空パックのもので、賞味期限が少し切れたものだったり、ワインは試飲会で仕入れた残りだったり……廃棄される理由がわからない!

ドイツ政府は2012年に、食品廃棄物の量を2020年までに半減させると発表していますが
食料品に限らずゴミを減らすことは、一人一人の意識が変わってこそ実現が可能になるもの。ゴミが減れば、処理の時に排出される二酸化炭素も減り、限りある資源の保護にもなります。料理や買い物の時、もうちょっと気をつけてみよう。
たった数時間ではありましたが、このレストランでの時間は楽しく、美味しく意識を変えてくれました。

リーズナブルで美味しいご飯を食べに、もしくは働きに。
あなたもレストラン「ゴミをなくして、ハッピーに!」に足を運んでみませんか?

 

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http://restlos-gluecklich.berlin/

スタッフとして働きたい方は、mitmachen@restlosgluecklich.berlin にメールで問い合わせを!

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hideko_im_spiegel-1河内秀子(かわちひでこ)
東京都出身。2000年からベルリン在住。
ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』ウェブマガジン『think the earth』などでもベルリンやドイツの情報を発信しています。趣味は漫画と美味しいごはん。Twitter(@berlinbau)で『一日一独』ドイツの風景を1日1枚、アップしています。

 

著者紹介

河内 秀子

東京都出身。2000年からベルリン在住。2003年、ベルリン美術大学在学中からライター、コーディネーターとして活動。雑誌『Pen』『derdiedas 』などでもベルリンやドイツの情報を発信させて頂いています。趣味は漫画と東ドイツとフォークが刺さったケーキの写真収集、食べ歩き。蚤の市やマンホール、コンクリ建築も大好物。Twitterで『#日々是独日』ドイツの風景を1日1枚、アップしています。@berlinbau

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