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ハンコとサインに見る【分かり合うこと】のむずかしさ

signature and pen

ハンコとサインに見る【分かり合うこと】のむずかしさ

色んな国の人や色んな文化的背景を持った人が集まると、

 

その価値観の違いなどから「分かり合うこと」ってなかなか難しかったりします。

 

最近ヨーロッパで起きたBURKINI論争などまさにその典型だといえるでしょう。

 

本当に日常の、ほんの些細なことが、価値観や考え方が違うと、論争のタネとなったりします。

 

・・・・日本とドイツでいえば、「ハンコ」と「サイン」かな(笑)

 

いえ、両国で争っているわけではないんですが、

 

ご存知のように、日本では公式文書を作成する際や、銀行の手続きをする際など日常生活のあらゆる場面においてハンコが必要なのに対し、

 

ドイツを含むヨーロッパは「サイン」でオッケーです。

 

そしてそして、ドイツ人が多く集まる場で「日本のハンコのシステムについてどう思いますか?」と聞くと、

 

出るわ出るわ、ハンコの悪口。

 

「何でもかんでもハンコが必要なのはどうかと思う」

 

「日本人は細かすぎる」

 

「他人のハンコでスタンプすることもできるから、簡単に偽造が可能なのが問題」

 

「日本人はハンコは(サインと違って)安全だと言うけど、ハンコは人に盗まれてしまったら、終わり。だから安全だと思わない」

 

「ハンコをどこかに置き忘れる事もあるから危険」

 

「ハンコだけではなく、朱肉も必要なので、ハンコは不便」

 

「名前が長くて、カタカナの名前がハンコに載り切らない」(確かにOberreiterのような名前だと難しいですね。というか、カタカナだと『オーバーライター』になりますので、「ー」が3回も登場するのも微妙)

 

hanko1「ハンコの意味が分からない」

 

「象がかわいそう」

 

・・・・などなどなど。(一番下の、※補足1もご覧ください。)

 

まあこれ、なんだかんだ言ってますが、要は「どうしてサインじゃダメなんだ?!(怒)」ということなわけです。

 

逆に日本人に、ドイツを含むヨーロッパの「サイン」について意見を聞くと、

 

「クシャクシャッとしていて、誰にでもマネできそう」

 

「サインは偽造しやすいのではないか」

 

「サインが何個も並んでいると、どのサインが誰のだか分からない」

 

「筆跡を見極めるのが難しい」

 

「使用するペンによってサインが違うふうに見える」

 

「重要な書類をサインで済ませるのにビックリ(呆)」(下の※補足2をご覧下さい)

 

「後になって、どうやって本人のサインだと見極めるのか」

 

「サインが解読できない」(「サインでは名前が読めないことも多い」)

 

「あれって、字なんですか」

 

「ドイツ人のサインは見た目が雑」(←これは私サンドラの意見)

 

 

・・・・などなど、サインはあまり信用されていないようです(笑)

 

で、これ、上の「ドイツ人の言い分」と「日本人の言い分」の両方を読んでいると、どれも一理あったりなかったりするわけですが(笑)

 

が、やっぱり思うのは、なんだかんだ理由をつけてはいるのだけれど、要は皆「自分の生まれ育った場所の習慣」をイコール「一番」だとしていて、他のやり方は心理的に(?)受けつけない人も多いのですねえ~。

 

これ、非常に興味深い現象だと思います。だって、ハンコやサインごときで、こんなに皆さん熱くなったり、他のやり方に「違和感」を感じたりするのですから。これが例えばサインやハンコなどではなく、もっと根底を揺るがすような案件が登場したらば、それはそれはこじれることを案じているかのようです。

 

そう考えると、たかがハンコ、たかがサインとはいえ、このように意見が真っ二つに分かれるのは怖いなあ。。。なんて思ったりします。

 

ここにも異文化交流の難しさなるものが隠されていたのでした(笑)

 

次回のテーマは「冷蔵庫」です。

 

え?冷蔵庫が国際交流とどんな関係があるのかって?

 

・・・・・楽しみにしていてください。

 

※補足1

「日本のハンコ文化が面倒くさい!」と言うのは「既に一定の期間日本に住んでいるドイツ人やヨーロッパ人」です。つまり日本で銀行の手続きなどを既に何度も経験している人達ですね。逆に短期間しか日本にいないドイツ人の「観光客」の場合は、日本のハンコを「エキゾチックだ!」と感激し、自分の名前を漢字で掘ってもらい(例: Bauer という苗字の場合、当て字にして「馬兎亜」などとハンコに掘ってもらう)生まれて初めて持つオリジナルのハンコを手にウキウキしていたりします。

 

※補足2

基本的にドイツ人(の一部)がニッポンのハンコに対して「面倒くさい!」と【怒】となるのに対し、日本人のサインに対する感情は【呆】という印象です(笑)つまりは欧米人の乱雑なサインに呆れているのですね。

 

※補足3

サインやハンコについては、両方とも、やはり「郷に入れば郷に従え」ですね。ハンコが主流の日本で「サインがいい!」とゴネてみても何も良いことはありません。日本の一部の銀行では、特別な事情がある場合、サインで動いてくれるところもあります。が、何せ日本は元々が「サインの文化」ではないため、銀行でサインをするたびに、登録時と「100パーセント同じ」形のサインをしないと、受け付けてもらえません。そう、いわばハンコのようなサインを求められるのですね。「ローマ字の i の点の部分がちょっと横にズレた」等のちょっとした誤差も見逃されません。・・・・しかし、毎回キッチリ同じスタイルの几帳面なサインを再現できる欧米人はまずいませんので、ニッポンの銀行で毎回モメるのを避けるためにも、やはり日本ではハンコを使うのが良いでしょう。

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン