DMY Festival Berlin 国際デザインフェスティバル – Young Germany Japan

Blog: ドイツデザイン最新事情
DMY Festival Berlin 国際デザインフェスティバル

(DMYの会場となったクラフトヴェルクは無機質なコンクリートが印象的な建物。)
(DMYの会場となったクラフトヴェルクは無機質なコンクリートが印象的な建物。)

DMY Festival Berlin 国際デザインフェスティバル

 

私のYoung Germanyでの最初の記事では、我々ベルリンのデザイナーと一緒に育ったと言っても過言では無いとあるイベントについて書いてみようと思います。今年で14年目を迎える国際デザインフェスティバル、DMY Berlinです。DMYはタイポグラフィーのTYPO Berlin、ファッションデザインのFashion Weekに並んで有名なデザインフェスティバルなのです。

(古い自転車のライトを利用したデスクライト。展示の方法も凝っています。)

(古い自転車のライトを利用したデスクライト。展示の方法も凝っています。)

今 年のDMYは6月2日から6月5日まで、シュプレー川にほど近いクロイツベルク区(Kreuzberg)のクラフトヴェルク(Kraftwerk)で開催 されました。実はDMYは2002年の初開催から、すでに3度ほどロケーションを変えています。この度重なる移動は、フェスティバルの主催者の交代に起因 します。発起人としてDMYフェスティバルを牽引してきたイェルク・シューアマン(Jörg Sürmann)に代わり、去年からはabout:design UGという企業が企画・運営を担うことになり、同時にロケーションも変わりました。この新しいチームとともに、新しい場所で、DMYは再出発することに なったのです。

会場のクラフトヴェルク(=”発電所”)はベルリンの壁が建設されたのとほぼ同時期の1961年に建設された、東ドイツの 火力発電所の跡地です。火力発電所が移転した後も建物群の一部はそのまま残され、現在ではイベントスペースやギャラリーとして利用されています。かの伝説 的なテクノクラブ、Tresorなどもかつてはこの敷地内にありました。

東ドイツの名残のある堂々とした素晴らしい建物なのですが、私 が 足を踏み入れた時、少し寂しく感じられました。DMY主催者のマネージング・パートナーであるアネット・ヴァルガ(Annett Varga)と会話する機会があったので、その点について訊いてみたのですが、クラフトヴェルクの敷地は以前のロケーションよりも小さいので、量より質を 重視するべく出展者を意図的に厳選しているとのことでした。

その『質』とはいかなるものか、自分の目で確かめてみることにしましょう。

ま ずは一階です。ここには大学や学校が展示しています。スウェーデンのLund UniversityやSchool of industrial Design、スペインのDesign School IED Madridなどインターナショナルな展示に並んで、Hochschule für Technik und Wirtschaft Berlin(ベルリン技術・経済大学、通称HTW)が展示していました。

HTWのカー チャ・リレイ(Katja Riley)のプロジェクト“wearable sound“は、聴覚障害を持つ人にも音楽を楽しんでもらうことを目的としています。リレイは聴覚障害を持つ女性ヒップホップダンサーの協力の元、このプ ロジェクトを進めてきました。その女性ダンサーは、バスの音量を可能な限り大きくし、特に振動しやすい床の上でしかダンスができませんでした。リレイが開 発した服は複数の小型バイブレーターを内臓しており、音楽の高音・中音・低音のそれぞれのチャンネルに合わせて振動します。これによって、音楽を聴くので はなく、文字通り肌で感じることができるのです。

バイブレーターは多数の聴覚障害者とテストを重ね、最適な位置に取り付けられていま す。 また、バッテリーとバイブレーターは通電が可能な特殊な糸で接続されており、生産過程で機械的に縫い込むことが可能です。専用のスマートフォンアプリでそ れぞれの持つ触覚に合わせた心地よい振動に調整することが可能です。

(リレイのプロジェクトに使用されている、通電が可能な特殊な糸。)

(リレイのプロジェクトに使用されている、通電が可能な特殊な糸。)

(ウェアラブル・サウンドを試着する私。振動の設定はコンピュータで簡単に行えます)

(ウェアラブル・サウンドを試着する私。振動の設定はコンピュータで簡単に行えます)

こ の服を自分でも試着してみましたが、最初は初めての感覚に戸惑うものの、数分後にはこの新しい知覚の形態を楽しむことができました。聴覚障害者だけでな く、例えばクラブやダンス好きの人が更に深く音楽に入り込むためのツールとしても非常に有用だと思います。この素晴らしいアイディアの製品化に期待しま しょう。

さて、二階はデザイナーと企業の展示です。ドイツの他、デンマーク、イギリス、スペイン、オランダ、チェコ、ポルトガルなど世 界 各国のデザインを見ることができます。また、ベルリン出身ではないにもかかわらずベルリンを拠点に活動しているデザイナーも多く見られました。この街はデ ザイナーを引き寄せる磁石のようなものなのです。二つほどその例を紹介しましょう。

ピエール・ニルソン(Pierre Nilsson)はスウェーデン生まれで、“son of nils“という家具のシリーズを発表しています。彼はポツダムで学び、以後10年以上ベルリンでデザイナーとして活動してきました。彼の代表作であるラ ウンジチェア“AINA“もベルリンで生産されています。

(ピエール・ニルソンのAINAは着想から生産までメイド・イン・ベルリン)

(ピエール・ニルソンのAINAは着想から生産までメイド・イン・ベルリン)

自転車好きな私が特に見逃せなかったのがHapparel Bicyclesです。エバーハード・シリング(Eberhard Schilling)とフランス出身のアントワーヌ・カペロン(Antoine Capeyron)はベルリンで出会い、自転車に対する情熱で意気投合して2008年にHapparelを立ち上げます。彼らの目標は、自転車での走行にデザイン性を損なうことなく最高の安全性を提供することでした。

Happarelの自転車は全面に全天候に対応できる強力な反射フィルムが貼られています。このフィルムは現在8種類のカラーバリエーションがあり、車などに直接光を当てられたときにだけ強力に発光します。また、持ち込みの自転車をこのフィルムで自由にカスタマイズする作業も受け付けている他、自転車乗りのためのアクセサリーも取り扱っています。写真を見て頂ければお分かりかと思いますが、この反射フィルムの効果は息を呑むほどです。

Happarrel Bicycles

Happarrel Bicycles

(カメラのフラッシュを使用しなかった写真と、使用した写真。文字の細部までくっきり浮かび上がるほどの反射。)

(カメラのフラッシュを使用しなかった写真と、使用した写真。文字の細部までくっきり浮かび上がるほどの反射。)

このように、今年のDMYでも興味深いプロジェクト、アイディア、そしてデザインに触れることができました。もう少し出展者が多ければ更に良かったと個人的には思いますが、新しい主催者の元、来年以降もますます発展していくことでしょう。DMYの更なる成功を祈って、この記事は終わりにしたいと思います。

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