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罪悪感

©German Embassy Tokyo

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罪悪感

フェルディナント・フォン・シーラッハさん作、酒寄進一さん訳『罪悪 Schuld』(東京創元社)読了。
全232ページに珠玉の短編が15話、あっという間に読んじゃった。

でも、その前に読んだシャルロッテ・リンクさん作『沈黙の果て』の余韻の所為で、1話読み終える度に「えっ?」と言う何だか「物足りない感」が。

恐らく己の読解力不足だろう。

「次こそは!」と心して読み始めるものの不意に訪れる余白に又しても同じ感情が・・・

これは恐らく登場人物ひとりひとりの感情が克明に表現された『沈黙の果て』に比べると、必要最小限の情報があくまでも客観的に記されているからか?

作家であり刑事事件専門の弁護士でもある著者が正に体験した事がモチーフになっているだけに、物事に関して常に客観的且つ冷静でいなければならない職業病とも言うべき性格が文章にも表れている。

最初の〈ふるさと祭り〉では、その結末に遣る瀬無い不満を感じたのはボクだけじゃないはず。(ここから復讐のドラマが始まってもよさそうだが・・・)
作者自身もそれに似た感情を覚え、だが弁護士として踏み出したこの時からその「覚悟」が伺える。
この話はそれまでの自分と読者への宣戦布告なのかもしれない・・・

登場人物それぞれの異常な行為や習慣を軸に事件が起き、裁判に至りその結果に、読んでて「勧善懲悪とは何ぞ」と自らに問いかけてしまう。

「裁く」現場に立ち会う弁護士と言う職業は、感情に流されず、法を守り最良の手段を考えなくてはならない。
ただ〈清算〉に出てくる老裁判官の判決は、「やはり人の子」と言った、それまでの法の下における秩序だった冷徹さでは無く温かみを感じた。
これはシーラッハの心の拠り所なのかもしれない。(そうであってほしい・・・)

実は、今もう一度本書を読み返している。
今度はしっくりくるから不思議だ。
短編で1つ1つが別の話だが、実は作者の職業日記の様につながっている。

名作『犯罪』を超える奥深さ。
単なる謎解きとは違う、心揺さぶられる珠玉の短編集。
皆さんもぜひ♪=^_^=

(17. Februar 2016)



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