お手製ハリボテでコミュニケーション ハルカミホさん – Young Germany Japan

Blog: ドイツで羽ばたく日本人
お手製ハリボテでコミュニケーション ハルカミホさん

ブランデンブルク門で動画を撮影するハルカミホさん。
ブランデンブルク門で動画を撮影するハルカミホさん。

言わずと知れたベルリンの名所・ブランデンブルク門。その真ん前に、ブランデンブルク門をかたどったハリボテを頭にかぶり、全身タイツに身を包んだ日本人女性がいました。自撮り棒にスマホをセットし、自らの姿を動画で撮影しています。
アート? 演劇? それともお笑い? ユニークな出で立ちに、道行く人々も思わずチラチラと目をやったり、話しかけたりしています。

彼女の名前は、ハルカミホさん。現在ベルリンに住んで1年と数ヵ月です。日本では大手レコード会社に在籍し、歌手として活動していました。それがなぜベルリンで、ハリボテ&全身タイツ姿になったのでしょう。 ハルカさんに同行し、お話をうかがいました。

■きっかけは思い出づくり
「ベルリンに来る前はどんなところなのか、まったく知りませんでした」
とハルカさん。
現代美術家のご主人がベルリンを拠点に活動することになり、20代のうちに一度海外に住んでみたいと考えていたハルカさんは、ご主人とともに数年間移住することを決意しました。

知り合いが誰ひとりいないベルリンで、初めてできた友人は台湾人女性でした。しかしその彼女が、母国へ帰ることに。お別れ前に何か思い出がほしい、と思ったハルカさんの頭に浮かんだのが、日本から持参してきた全身タイツだったといいます。ハルカさんは日本にいたときに、当時仲のよかった友人を励ますために、全身タイツを購入していたのです。
さらに、くす玉やお面を作るのが好きだったことから、ハリボテ製作にもチャレンジ。帰国を控えた台湾人の友人とともに思い出づくりとして、ベルリンのお祭りで初めてハリボテのかぶり物&全身タイツ姿で歩いたところ、大きな反響を呼びました。これが現在の活動の原点となりました。

ベルリンの名所をハリボテで製作。

ベルリンの名所をハリボテで製作。

■「ハリボテワイフ」と名付け、作品製作
ハルカさんがベルリンに住み始めたのは、ご主人の仕事がきっかけで、自分で選んだわけではありません。しかし「せっかく来たのだから、ベルリンのことをもっと知りたい」という気持ちでベルリンの名所について調べ、ハリボテにすることを思いつきました。

ハリボテ製作は今年から始め、これまでに手がけた作品はブランデンブルク門やテレビ塔、Sバーン(電車)、カリーヴルスト(カレーソーセージ)、ベルリン市のシンボルである熊など。いずれも段ボールで骨組みを作り、新聞紙を貼っては乾かし、最後はペイントをして仕上げます。試行錯誤を重ねながらの製作です。

おなじみベルリン名物がハリボテで勢揃い。

おなじみベルリン名物がハリボテで勢揃い。

製作のたびに、色の出し方など工夫を重ねています。

製作のたびに、色の出し方など工夫を重ねています。

ハリボテが完成したら頭にかぶり、名所について説明する姿を動画で撮ってサイトに投稿しています。この活動を「ハリボテワイフ」と名付け、ベルリンを中心にヨーロッパ各地で動画撮影を始めています。

■ハルカさん流コミュニケーション
撮影の様子を見てみたかった私は、ブランデンブルク門前でハルカさんと待ち合わせをしました。ハルカさんはブランデンブルク門のハリボテをかぶり、黄色い全身タイツ姿で登場。自撮り棒にセットしたスマホに向かって、門の説明を始めました。
すると周りの人々はハルカさんに、「キュート」「何をしているの?」と、次々と話しかけて来ます。「一緒に写真を撮って」と、スマホやカメラを差し出す人も後を絶ちません。質問に答えたり、一緒にカメラに収まったりと大忙し。

全身タイツ着用で自宅からブランデンブルク門へ。移動中は堂々としていると、奇異な目で見られないそうです。

全身タイツ着用で自宅からブランデンブルク門へ。
移動中は堂々としていると、奇異な目で見られないそうです。

「一緒にとって」と次々と声をかけられます。

周囲の人々から「一緒に撮って」と大人気。

その様子を見ていて、かぶり物と全身タイツは、ハルカさん流のコミュニケーションなのだとわかりました。知り合いが誰もいなく、言葉のハンディもある地で、ハルカさんなりのやり方で交流を図っていたのです。
最近では、単に名所を説明する動画だけでなく、”How do you say “I” in your mother tongue”という新シリーズを始めました。これは外国人から自国語で自己紹介の仕方を聞く内容で、SNSで協力者を募集しています。言葉だけでなく、その国の文化も教えてもらいます。
さらに、ベルリンにゆるキャラを作る企画も始動させました。まさに今、自由な発想で新たなことを次々と実現させているところです。

もともとハルカさんは歌手。歌うことで誰かに喜んでもらえると嬉しいから、という理由で歌手になったといいます。
ハリボテ活動も、「喜んでもらえると嬉しい」という原点は同じ。表現方法は変わっても、ハルカさんは根っからのエンターテイナーなのだと思いました。そして、たとえ言葉にハンディがあっても、興味がありさえすれば、その人なりの形で街と人に関わることはできるのだとわかりました。

「ハリボテワイフ」プロジェクトHP
http://haribotewife.xyz/

You Tube映像
https://www.youtube.com/channel/UCQz-h46UHITZeCO3J6wn-6A

文・写真/ベルリン在住ライター 久保田由希
2002年よりベルリン在住。ドイツ・ベルリンのライフスタイル分野に関する著書多数。主な著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『ベルリンのカフェスタイル』(河出書房新社)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)など。http://www.kubomaga.com/

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