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若いデザイナーの挑戦課題、今後の見通し 

Design Future

若いデザイナーの挑戦課題、今後の見通し 

現代におけるデザイナーの役割とは何でしょうか? デザイナー、特に若いデザイナーは、今どのような問題状況に直面しているのでしょうか?

今デザイナーが直面しているのは、多くのものが既に発明され、デザインされてしまったと思われることです。例えば身近な分野でビジネスとして重要な家具デザインでは、数十年もの家具デザインの歴史を経て、あらゆるカテゴリーで定番デザインが確立しています。マルト・スタムやコルビジェなど、バウハウスのアバンギャルドなデザインから、50年代、60年代のイームズまで様々あります。これらのデザインは有名な美術館に収蔵され、リプロダクト製品は、空港の待合室や、立派な会議室など、あらゆる公共建造物に置かれています。そして椅子の場合、デザインする余地は限られています。椅子には4本の脚と座面があり、ほとんどの場合は背もたれがついています。この条件の中で注目される新しいデザインを創造するのは、若いデザイナーにとっては大きな挑戦です。国際デザインフェスティバル(DMY)で交わした会話に、このテーマは何度も出てきました。今どうやったら若いデザイナーは、他の多くの既存デザインの中に埋没せず、際立つ存在になれるのか?自分たちにとって重要テーマは何なのか?

Bauhaus Klassiker von Mart Sta,     Eames Schreibtischstuhl

(バウハウスのクラシックデザイン、マルト・スタムの椅子と、60年代のイームズのデスクチェア)

ソーシャルデザインは、新しい方向性を示すものです。ソーシャルデザインは、デザインの社会的な要素や、制作プロセスにおけるデザイナーの社会的責任と向き合います。

特に世界の激しい変化や、それがもたらす挑戦課題を考えると、この分野には新しいアイデアや新たな開発の、非常に大きなポテンシャルが潜んでいます。

良いデザインと見ると、その美しいものを手に入れたいという気持ちがわいてきます。デザインは消費を促すのです。フェイスリフトとよばれる自動車デザインの更新は、その良い例です。そのようなモデルチェンジには、ほとんど技術的な必然性はありません。ただこの場合、旧デザインの「使い古した」製品はどうなるかという問題があります。不足しているのは資源だけでなく、廃棄物処理のキャパシティも限られています。これが、ソーシャルデザインが活動する分野の問題状況です。

その中で重要な、多くの分野で見られるトレンドとして、サステイナブルなコンポーネントを使った製品や素材の開発があります。そのアイデアは、例えば群生するキノコで作った椅子といった、生物を育てて製品にするアイデアから、堆肥にしやすい材料の使用、あるいは牛乳や木綿製造で出る廃棄物を使用した材料まであります。

Recreate Textiles 2    Recreate Textiles

(リクリエイト・テキスタイル:木綿製造の廃棄物による、テキスタイルの平面デザイン)

デザインにさらなる可能性を開くのが、参加型デザインの手法です。すなわち、デザイナーだけが物をデザインするのではなく、ユーザーも積極的に開発作業に参加するというものです。ユーザーにとっての問題は何なのか?デザイナーはどのようにユーザーをサポートできるのか?例えば、ユーザーと会話して、環境に最もやさしい洗濯コースを伝えてくれる洗濯機は、このような手法で誕生しました。

また公共空間の設計でも、デザインは責任を担うことができます。都市計画の分野では数年前まで、他にはない個性的な建物を設計するため、相次いで著名な建築家が起用されてきました。有名建築家は多くの関心を集めることができ、その建築が都市のイメージアップにつながると期待されました。しかしその様な建築は、何年もの工事期間と莫大な資金負担が必要なのに、住民はその割にあまり恩恵を受けないことがよくあります。このため、建築における最新のアプローチでは、参加型の設計が行われています。この場合も、ユーザーは設計の初期段階から参加し、自分たちが必要なことを伝えます。よく出される希望は、公園のベンチ、バーベキュースペース、緑地の拡充など、単純なことです。

このように少し分析するだけでも、若いデザイナーが今日直面する挑戦課題が見えてきます。デザイナーの役割は変化しているのです。しかしこのような変化は、大きなポテンシャルを内包しています。デザインの未来は、エキサイティングであり続けます。

Felix Sandberg

シュトゥットガルト近郊の田舎町育ち。15歳のときヴィジュアル表現の形として写真に目覚める。その後すぐに家具を初めて手作りする。大学時代をイエナで過ごし、その間にミュンヘン・ニューヨークなどにも立ち寄る。ミュンヘンでは特に建築に、そしてニューヨークでは日々デザインに没頭し、物の美しさへの情熱と美的感覚を養う。 その定義づけに関わらず、物の見た目・形そのものに興味があり、建築でも家具でも家電でも、外見こそが重要。その姿かたちから良い感覚が自分の中に沸いたとき、初めてそれが私にとってデザインとなり得る。 経営学を学んだ後、繊維業界でインターンおよび勤務経験あり。繊維商社では仕入れ・および販売部にて従事。今年の初めからは自らの情熱にすべてをささげている。

Felix Sandberg