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先入観と勘違い

ⒸGerman Embassy Tokyo

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先入観と勘違い

最後に「読書」ブログを書いたのが昨年の8月だから(「読書の夏」)、約1年ぶりの「読書」ブログ。

ラフィク・シャミさん作、酒寄進一さん訳の『愛の裏側は闇(Die dunkle Seite der Liebe)』をようやく読了。
昨年の10月に東京創元社さんからいただいて9ヶ月もかかっちゃった・・・
いつも(重たい)本を持ち歩いていたんだけど、もともと遅読の上に、物語の背景がこれまで全く無縁の世界だったので、かなり苦戦しちゃった=^_^;=

3巻合計1102ページ、約1.4キログラムの長編は304の細かい章に分かれていて、その章も「愛の書」、「氏族の書」、「成長の書」などのテーマに分かれて、繰り返しテーマが入れ替わって物語が進んでいくんだ。
「笑いの書」や「地獄の書」もあって、「地獄の書」では想像をかきたてる文章(翻訳)に思わず「吐き気」を覚える場面もあり、また「笑いの書」ではアラブ独特の「笑い話」に苦笑い。
「愛の書」で恋人同士が「絡む」場面は妖艶で生々しい描写に思わず赤面・・・
ある意味飽きさせない反面、いろんなテーマが入り組んでそれまで読んできたものを「思い出す」のにひと苦労。
また、「繋がっていた!」と気付かされて前に戻って読み直すこと数多(あまた)。
そして何より登場人物の名前に混乱。
大家族ゆえに多い登場人物。
そして似た様な名前。
「名前」の他に「こう呼ばれてた」などと通称も登場、ニックネームに修道院での呼び名など・・・1人で複数の名前があるなどこれも覚えるのに大変だった。

そして誰が主役なのか?

「ドイツミステリ」の読み過ぎなのか、最初は「籠の中の死体」の事件を捜査するバルーディ警部が主役と思ってしまった・・・(そしてこの章を含む「死の書 其の一」が「あそこ」に繋がるとは!←あ〜、言いたい!どこに繋がるのかって!)
主役に辿り着くまで頭の中がなかなか整理つかなかった=^_^;=

ⒸGoogle

ⒸGoogle



そもそもこの長編小説の舞台のシリアやその首都ダマスカスについて地理的知識が乏しかったのも事実。
内線が今も続きニュースでよく耳にするけど、実際にシリアと言われてもピンと来ない。
歴史もよく知らないし・・・
調べてみてはじめて「シリア・アラブ共和国」で通称シリアと知る始末。
恥ずかしい話、ダマスカスと聞いて「あれ、アフリカだったっけ?ライオンやシマウマが登場するアニメ映画が・・・」とマダガスカルと勘違いする有様=^_^;=

そして物語の背景にある「東方典礼カトリック教会」や「正教会」などの宗教観や、「共産党員」だとか「ムスリム同胞団」などの政治的背景は、その時代の国の情勢を含め読んでいるうちに「何となく」雰囲気を感じることができるようになったけど、なかなか読書のスピードを上げることには役立たなかった。

こう書くとこの物語の時代背景が現在から遠く離れている感じがするけど、実は現代のお話。
主人公の祖母の紹介の件(くだり)で1850年から触れられているけど、1940年生まれの主人公を中心にその両親を含めた一族の物語で最後の章は2004年夏。

作者のシャミさんは訳者の酒寄さんに宛てたメールで、「この物語に書かれていることは百パーセント真実です」と書き、ただし家族や知人の命が危ないから登場する人物や場所の名前を変えていると訳者あとがきで知り愕然。

そして、なぜかシャミさんを女性と思ってて、読了後にインターネットで画像を見つけて男性だったことを知り唖然。
なんで女性と思い込んでいたのか不思議だけど、男性が事実に基づいて書いたと知りながら読んだら、また違ったかも・・・

ラフィク・シャミさん ⒸWikipedia

ラフィク・シャミさん ⒸWikipedia



シャミさんは1946年にシリアのダマスカス生まれ、25歳の時にドイツのハイデルベルク大学へ留学する形で亡命。(そういえば主人公も最後はハイデルベルク大学に・・・)
亡命後はヨーロッパ社会とアラブ社会の架け橋となり、外国人労働者の声を代弁する形で外国人労働者によるドイツ語文学の先駆者となったんだ。
ドイツ語を母語としないドイツ語作家に贈られるシャミッソー賞など数々の賞を受賞。

余談だけど、読書に集中できなかった時、
ラフィク・シャミ

ラフィクシャミ

ラフィ クシャミ

くしゃみ!
と、ほくそ笑んでいました=^_^;=

ⒸGerman Embassy Tokyo

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折しもシリア情勢が話題になる今、読み終えて何となくボンヤリとシリアが見えてきた感じ・・・
みなさんもいかがでしょう♪
体力いりますよ〜!=^_^=

(19. Juli 2015)






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