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日独ハーフの視点

夏ですね。「日焼け」にまつわる日本とドイツのちがい

日差しの強い季節になってまいりました。

それと同時に日焼けも気になりますね。

日本では夏の日、「日傘」をさす女性を街中でよく見かけます。

日本の夏の象徴、それは風鈴、カキ氷、冷やし中華とそうめん(←なんだか、食べ物が多いですね・・・)、ミンミンミンと鳴くセミと・・・女性の「日傘」かもしれません(笑)

私は毎年、ミンミンミン~♪♪♪と鳴くセミの鳴き声を聞くと、そして日傘をさす女性を見ると、「ああ、夏だなあ~」と感じます。

セミも日傘も、どちらもドイツの夏にはないものなのですね。

そのためか、ドイツ人の知人や友達が日本に遊びに来ると、

ドイツ人から必ずといっていいほど「日傘」についての言及があります(笑)

具体的には、以下のようなやりとりです。

@日本の夏、ドイツ人観光客とふたりで東京を散策中・・・

 

ドイツ人:

「サンドラ!見て見て!あそこに立ってる女の人!雨も降ってないのに、傘をさしてるよ!傘!!!」

 

私:

「ああ、そうね。日本ではよくあるのよ。日射病もふせげるし、あとは女性だと日焼けしたくない人も多いしね。」

 

ドイツ人:

「そんなに、太陽が嫌なわけ?そんなに焼きたくないわけ?そんなに白いのがいいわけ?いったい何なわけ?!」

 

と、それはそれはご立腹なのでした。

日本にあまり詳しくないドイツ人が夏に日本に来ると、ほぼ毎回これをやられるので、もう毎回のことだし、もうこのリアクションに慣れてしまった私です(笑)

そう、ドイツ人と日本人では「日焼け」に関する考え方がかなり違うのですね。

日本では日焼けが大好きな人もいるにはいるのですが、

街中で日傘をさす女性もいるように、

そして夏が近づくと、化粧品売り場のポップに「夏が来る前に美白!」というようなコピーがならぶように、

「白い肌」や「肌をとにかく焼かない」ことを追求する女性も多いようなのですね。シミも怖いですしね。

ところがところが、ドイツでは

「日焼けこそが魅力的な美人!」というのが「美」に関する一般常識なのでした。

そのためドイツでは「ただいま、南の島のバケーションから帰ってきたの♪」といった感じの日焼け美人を街のいたるところで見かけます。

そう、ドイツ人にとって「日焼けした肌」は「南の島でのバケーション」「ビーチで海を見ながらカクテルを飲んでリラックス」を連想させるものなのでした。

よって日焼けをしている人達がいわばリッチなイメージというか勝ち組で、

休暇明けにもかかわらず、年がら年中、肌が白い人は、ドイツではblass(蒼白い)と見なされ、周りの人から同情されたりします。「まあ~っ、お気の毒に。アナタそんなblass(ブラス)な顔して、ずっとお家にいたのね?お気の毒・・・」的な嫌味を言われちゃうこともあります(苦笑)

つまりは、肌が白い(日焼けをしていない)のは、ドイツでは「休暇を南の島で過ごせず寒いドイツにとどまった(または家にひきこもった)気の毒な人」の烙印を押されてしまうのでした。

そういえば私もミュンヘンに住んでいた13歳のころ、近所に住むドイツ人のおばあさんに「あらま、アナタ若いのに、そんなblass(ブラス)な顔をして!もっと外に出なきゃダメよ!お日様と仲良くしなさい!」とお説教されたことがありました(笑)ドイツ語でいうと、“Mein Gott, schaust Du blass aus! Kind, Du musst mehr in die Sonne!“という感じの言い方だったと記憶しております。(※わかりやすさを優先のため意訳であり直訳ではないことをご了承ください。)

そんなこんなで、ドイツでは日焼け美人が昔も今も流行っています。

休暇を過ごす南の島でこんがり肌を焼き、ドイツに戻ってきた後、その「黒さ」を維持するため近所の日焼けサロンにセッセと通うドイツ人も少なくありません。こうやって「日焼けも長持ち」というわけです。

そんなドイツでは「肌が早く焼けるように」と、Selbstbräunungscreme(肌が黒くなるためのクリーム。つまり「美白」の逆をいったもの)が多く売られています。

ちなみに、私自身に関しては日本とドイツの「ハーフ」ですので、「日焼け」に関しても、両国の「真ん中」をいっています(笑)

今は日本に住んでいるため、ドイツ流に焼きまくることはしないけれど、あえて美白もしない。

そして、年齢とともに肌が衰えるのは仕方がないけれど、

過剰な日焼けや紫外線によって肌にダメージをあたえるのは、できれば避けたいとも思っているので、

長く外に出る時には日焼け止めクリームを塗ったりしています。

ほんとうは肌のために日傘をさしたい気持ちもあるのだけれど・・・・

そして実際に日傘を購入し、日傘をさして歩いてみたこともあるのだけれど、、、

あることに気付いてしまって、やめました。

その気付いた「あること」とは、「日傘って、似合わない女性もいるのだなあ」ということなのでした。

そう、たまたま日傘を持って歩いていた私が鏡にうつったのですが、「何かちがう」のでした。

日傘って、「合うファッション」と「合わないファッション」があるように思います。

スカートをはいて少ししとやかに歩けば日傘をさしても絵になるけれど、

私のようにパンツをはいてスタスタと大股で歩く女性に日傘は似合わないのでした。これに気付くことはちょっと寂しかったのだけれど。

私の所感ですが着物が似合う女性はきっと日傘も似合うのだと思います。

・・・・夏の到来とともに、日傘にまつわる「あれこれ」を考えてみました。

みなさん、素敵な夏をお過ごしくださいませ~

サンドラ・ヘフェリン

著者紹介

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

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