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「ドイツミステリ酒場」で異様に盛り上がる!!

「ドイツミステリ酒場」で異様に盛り上がる!!

「ドイツミステリ酒場」で異様に盛り上がる!!

2012年10月23日の夜、「ドイツミステリ酒場」なるイベントが、新宿の「Biri-Biri酒場」という、素敵で、なんともプロっぽい場所(何のプロだ?というツッコミはご勘弁!)で行われました。これは要するに、色々なテーマで定期的に開催されるミステリ小説業界のトークイベントで、出版界や評論界のコアな方々が集まる場なのですが、今回「ドイツミステリ」に白羽の矢が立ったのです! ついにここまで来たよドイツミステリ! その微妙な夜明け前から見守ってきた私としては感慨深いです^^



トークの基本的な構成は、ミステリマガジン誌などお読みの方なら説明不要に有名な超書評家の杉江松恋さんと、本稿をお読みの方ならさらに説明不要な超翻訳家の酒寄進一さんががっぷり四つに組んで存分に質問とネタをぶつけ合う、というもので、まさに夢の競演。いい意味で「エイリアン対プレデター」みたいなというか、濃厚すぎて思わず心配になるほど素晴らしい顔合わせです。

そして、私もゲストとしてお呼びいただきました。濃ゆすぎるステージを中和するためとしか思えません。いや実際そうなりました!(笑)



ということで、予想通りというか予想以上にスゴい本番ステージになりました。

杉江氏が、英米ミステリの発達史を踏まえた形で「ドイツではどう違うのか? どういう事情が背景にあるのか?」というツボをついた質問を放ってくるのに対し、酒寄さんがオーラ満開で応えて場を盛り上げる → 超盛り上がる → いつのまにか時間切れ! という流れで、ある意味、日独協会の酒寄さんイベントと非常に似通った展開に。素晴らしい。

基本的に、酒寄さんがドイツ文芸の状況や展望の説明を行い、私がドイツ社会やドイツ人心理からの状況説明を行った感じです。



今回、私が個人的に強く感じたのは、以下の3点です。



1. 文芸業界のトーク内容はやはり一味違う。

ミステリ作品の解釈にしても、「大構造の中での本作の位置づけはどうなのか?」という観点を常に視野のどこかに入れながら情報交換する傾向があり、さらにそれが、英米や日本の文芸史を踏まえた評価軸となっている点が興味深い。そういう業界的な観点を踏まえた比喩でドイツ文芸の魅力をうまく表現できればベストなのだろうな、と思った。



2. 終わったあとの飲み会が面白かった。

トークショー後の飲み会ではミステリ以外の知的関心分野にも平然と話が及び、たとえば杉江さんの「中世日本の人間の生活感覚とは?」みたいな議論はとても面白い(杉江さんの知的関心の幅の広さと思考の奥行きは素晴らしい!)のだが、トークショーの本題ではないからそういうのを看板に掲げるわけにもいかない。当然といえば当然だが、微妙にもったいない話ではある(笑)



3. 酒寄さんはやはり一味違う。

その飲み会でも出たテーマだが、いま(2012/11/4)現在、これほどキャラ立ちした翻訳家がほかに居るだろうか?(いや居ない!) というお話。文芸にしても何にしても、あるジャンルが社会的な認知度を高める際、作品の質の高さはいうまでもなく、そのジャンルに関わっている人物の魅力度の高さ、盛り上がりが重要。特に日本語とドイツ語という、全く違う構造・精神・論理の言語を翻訳しながらあるレベル以上のものを目指した場合、内面的な豊かさが問われる気がする。それが内面だけでなく、120%表にも出ているのが酒寄さん。そういう意味で、「ドイツミステリ」の日本での評価アップの原動力は、やはり酒寄さんの「翻訳するにとどまらない、収まりきらない、出し惜しみしない愛」なのだろうなということをあらためて実感した。



以上、こんな感じです。関係者の皆様、どうもお疲れさまでした&ありがとうございました! 出演しても観客として参加しても、ものごとを考えるきっかけをつかんだり、きっかけを伸ばすにはとてもよい場だなと感じました。



ちなみに、酒寄さんがあまりにスゴかったので、「ドイツミステリ酒場」第2弾を行うという計画が浮上しています。皆様よろしければぜひどうぞ! しかしそういえば、日独協会のイベントもそんな感じで第2弾が実行され、それでも足りないから第3弾が準備されているという話だったような…(笑)



それではまた、Tschüss!



(2012.11.04)




YG_JA_1937[1]マライ・メントライン




シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州キール出身。NHK教育 『テレビでドイツ語』 出演。早川書房『ミステリマガジン』誌で「洋書案内」などコラム、エッセイを執筆。最初から日本語で書く、翻訳の手間がかからないお得な存在。しかし、いかにも日本語は話せなさそうな外見のため、お店では英語メニューが出されてしまうという宿命に。

まあ、それもなかなかオツなものですが。

マライ・メントライン

翻訳(日→独、独→日)・通訳・よろず物書き業 ドイツ最北部、Uボート基地の町キール出身。実家から半日で北欧ミステリの傑作『ヴァランダー警部』シリーズの舞台、イースタに行けるのに気づいたことをきっかけにミステリ業界に入る。ドイツミステリ案内人として紹介される場合が多いが、自国の身贔屓はしない主義。好きなもの:猫&犬。コーヒー。カメラ。昭和のあれこれ。牛。

Twitter : https://twitter.com/marei_de_pon

マライ・メントライン