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ハーフがあうイジメ「チン・チャン・チョン問題」

ハーフがあうイジメ「チン・チャン・チョン問題」

ハーフがあうイジメ「チン・チャン・チョン問題」

ハーフはよく「ハーフっていいなあ」「ハーフがうらやましい」「ハーフって2つの国を行ったり来たりできていいね」と言われるけど、ぶっちゃけハーフの人生はそんなに甘くありません。特に「子供ハーフ」や、思春期のハーフは大変です。理由は学校でハーフに対するイジメがあるから。日本の学校のイジメにも酷いものがありますが、まずはドイツの学校でのイジメの話をしたいと思います。



日本とドイツのハーフの子供がドイツの学校に通うと、「チン・チャン・チョン!」とはやしたてられたり、からかわれたりすることがあります。この「チン・チャン・チョン!」は、ハーフに限らず、ヨーロッパ、または白人の多い地域で子供時代を過ごした日本人、中国人、韓国人などその他のアジア人であれば必ず知っている言い草なのではないでしょうか。



でも、知らない方のために紹介すると、「チン・チャン・チョン」とは、要はアジアの言語をバカにした「からかい」なのです (私はこれをからかいではなく、イジメだと思っています)。ドイツ人の耳には、日本語や中国語、韓国語もベトナム語も全部、響きとして「チン・チャン・チョン」と聞こえることがあるようです。ドイツには「アジアの言葉は全て中国語。極東は全てがチンチャンチョン!」と思っている人が少なからずいます。つまり、「アジア人=全員中国人=全員チンチャンチョン」という構図が一部のドイツの人達の頭の中で出来上がっているのです。



ドイツのあまり教養の無い人々の間で広まった、この「ひやかし」「からかい」は、ドイツの子供たちの間でアッと言う間に広まり、彼らはアジア系の子を見つけては、この手の「はやしたて」をしてイジメています。ドイツ人の子供が東洋人の子供や東洋系ハーフの子供を「チン・チャン・チョーン!!! 中国語しゃべってみろー!! やーい。」とからかうイジメがドイツには少なからずあるわけです。



私も子供時代にもちろん言われた経験があります。私の場合は、容姿があまり日本人的ではなかったため、初対面でこれを言われる事はなかったのですが、母親が日本人だと分かった途端に、ドイツのイジメっ子集団に、「家ではどうせ、親とチン・チャン・チョーンと話してるんだろー!! やーいやーい、チンチャンチョン、チンチャンチョン、Tching Tschang Tschong、Ching Chang Chong!!!」と言われました。



ドイツ育ちのハーフの多くはこれを経験しています。それが深刻なイジメに発展するか、からかい程度で終わるかはケースバイケースで違いますが、アジア系の容姿をしていたり、アジア系の言葉を話している子供はこれを必ずと言っていいほど経験しています。言われた事の無い東洋人または東洋系ハーフなんているのでしょうか?



ちなみに、東洋系に対するこの「チン・チャン・チョン」というからかいは、ドイツだけではなく、ヨーロッパ全土にあるようです。私が日本に来てから友達になったイタリアと日本のハーフの人に「ドイツではアジア系は、チン・チャン・チョンとからかわれることがある」と話したら、彼女は「イタリアでは、チャン・チュン・チョンだったよ」と教えてくれました。ヨーロッパのみならず、例えばエジプトでもこの手の問題はあるみたいですし、どうやら全世界に広まっているようです。なんとか取り締まる方法はないのでしょうか。



私自身は、機会あればこの問題について発信していきたいと考え、先日ドイツの雑誌にて、この「チン・チャン・チョン問題」について話をさせていただきました (61ページの後ろから2列目の、下から8行目と、下から6行目のTsching Tschang Tschongと書かれている部分がそれです)。



念のために説明をすると、日本人の大人が例えばドイツ現地の会社で働いても、同僚のドイツ人に「チン・チャン・チョン」などといじめられることはありません。でも子供の世界ではこのイジメは日常茶飯事です。Grundschule 小学校や、Gymnasium 低学年、RealschuleやHauptschule の低学年でもこの手のイジメがあります。そして、これを「子供同士のことだから放っておけばいい」のかというと、そうではないと私は思うのです。なぜなら、子供同士で発生するイジメは必ず大人の鏡であり、子供のイジメとは大人の考え方を反映しているものだからです。



親日的なドイツ人ばかりだといいのですが、残念ながらドイツにいるドイツ人は親日家だけで成り立っているわけではありません。ドイツには大学で Japanologie 日本学を専攻し、日本が大好きなドイツ人もいる一方で、中国と日本の違いがわからないドイツ人もいますし、日本を含むアジア全体が嫌いなドイツ人もいますし、そもそも日本とアジアに全く無関心なドイツ人もいます。



大人であれば、ある程度自分の交友関係や仕事先を選ぶことができますが、実は一番大変なのは子供です。というのは、例えば小学生は自分がどういう環境に身を置くかは選べないからです。よって、日本人の子供や日本とのハーフの子供がたまたま「日本やアジアを見下している子供達」や「日本やアジアが嫌いな子供達」がいるクラスに入れられてしまったりすると最悪です。そういう環境にポーンと放り込まれ、無知な同級生に囲まれた中でがんばらなければいけないアジア系児童 (日本の児童を含む) も実際には多くいます。



ドイツを含むヨーロッパの学校で東洋系の子供 (日本人、中国人、韓国人、ベトナム人など。ドイツ人とのハーフも含む) がいじめられる場合、そのイジメはアジア人蔑視の人種差別的な要素が強いのは否めませんね。



このようなイジメに、どう反撃したらいいのか私はいまだに分かりませんし、例えば子供を持つ親御さんが、子供に「同級生に『チン・チャン・チョン』と言われていじめられた」と言われた時に、親としてどうアドバイスをすればいいのかもよくわかりません…。皆さんだったらどうしますか?



中々むずかしい問題ですが、気長に考えなければいけない問題だと思っています。




★明るいニュースです。私の本「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)が発売されました!皆さん読んでみてくださいね。777円です(笑)




YG_JA_1648[1]サンドラ・ヘフェリン



ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴12年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) など5冊。自らが日独ハーフである事から、「ハーフ」について詳しい。ちなみにハーフに関する連載は月刊誌に続き今回が2回目である。趣味は執筆と散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン